<コラム・莫邦富の情報潮干狩り>中国版「道の駅」時代が交通大渋滞の10月連休中に幕を開けた

莫邦富    2020年12月14日(月) 15時20分

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10年前の2010年9月下旬、高知県庁に招かれて、インバウンド資源の取材で四万十川周辺を回ってみた。写真は中国・蘇州の陽澄湖サービスエリア。

常州の芳茂山サービスエリアは恐竜テーマパークに行く観光客がよく利用するところだ。そこのデザインは恐竜を強調したものだ。恐竜テーマパークはもう少し離れたところにあるが、サービスエリアの駐車場を一歩でも出ると、すでに恐竜の世界だという錯覚を与えるように多くの恐竜のオブジェが置かれている。建築スタイルも童話的情緒を醸し出せるようなものだ。子供連れの観光客に喜ばれる存在となっている。

写真は常州の芳茂山恐竜サービスエリア

写真は常州の芳茂山恐竜サービスエリア

一方、常州市の●湖(●はさんずいに鬲)サービスエリアはヨーロッパ風の建築物だが、若者に好かれる。工業の町というイメージが強い常州は観光業にも力を入れている。●湖という地名が読めない中国人が多いのを見て、そこを「西太湖」と呼ぶようにした。名高い太湖に便乗するきらいはあるが、その努力と工夫は評価したい。

江蘇省の高速道路サービスエリアについての紹介がインターネットにアップされてから、中国各地の行政当局が高速道路サービスエリア経済の存在に気付き、ビジネスとしての可能性に大きな関心を抱くようになった。言い換えれば、高速道路サービスエリアを日本の道の駅のように活用しようと考え始めた。10年前に時期尚早と諦めた日本の道の駅についての紹介はこれから積極的にしようと私も時機到来と判断した。

■高速道路で世界一になった中国、だがその経営は…

中国の高速道路の総延長は3年前の2017年7月にすでに13万1000キロメートルとなって、アメリカを抜いて世界一になった。しかし、その後も年平均約6000キロメートル以上のスピードで高速道路が建設されており、19年末現在、約14万9600 キロメートルに達した。しかし、総延長が15万キロメートルの突破を寸前にした中国の高速道路事業の経営は実はかなり厳しい状態にある。

江蘇省高速道路の交通量は中国国内では第2位だが、それでも運営不振で長期赤字状態に陥っている。「サービスエリアは自己造血できなかったため、自ら資金を投入して改修もできない悪循環になっていた」と関係当局者も認めている。

サービスエリアに限らず、自動車道路全体の経営状況も厳しい。国土交通省に相当する交通部の統計データによると、2019年末、中国本土の有料道路関連の債務残高は6兆1500億元(約97兆8000億円)で、前年末比8.1%増の4621億7000万元(約7兆3500億円)も増えた。高速道路業界も例外的な存在ではなく、その収支不足額は2011年は324億元(約5150億円)だったが、2019年には4849億8000万元(約7兆7130億円)にも膨らんできた。通行料以外の収入源を増やすことを急務と捉える高速道路経営企業は、ようやくサービスエリアに目を向け始めたのだ。

■江蘇省で実施された高度化推進プロジェクト、18年までに黒字転換実現

2015年、江蘇省内の高速道路の運営を握る江蘇省交通控股有限公司(以下、江蘇交控)はサービスエリアのモデルチェンジと高度化推進というプロジェクトを始めた。同管轄内には下りと上りからなる94対のサービスエリアがあり、そのうち、74対はすでにモデルチェンジと高度化改造工事を完了した。新たに使用に投入されたばかりの7対のサービスエリアを除き、工事完了率はすでに80%を超えている。

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