<コラム>香港の民主と自決を主張する若者が日本人に向け熱弁、20歳にして国際的影響力も

如月隼人    2017年6月16日(金) 14時40分

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東京大学駒場キャンパスで14日、「香港返還20周年・民主のゆくえ」と題するイベントが開催された。写真は香港。

17年には普通選挙が実施される予定だったが、全人代は立候補者選びについて、従来の選挙委員会を指名委員会に代え、指名委員会が2、3人に限って候補者を認めると定めた。中国大陸側の意向に反する人物は事実上、行政長官選になれない仕組みだ。

周氏によると、全人代による選挙方式への介入は「1国2制度」の破壊だとして民主派が怒った。中高生は授業をボイコットした。街頭運動には一般市民も加わった。警察が催涙弾を使用したことで人々の反発は高まり、デモに加わる人はさらに増えた。警察の暴力は抗議運動に関係ない一般の買い物客にも及んだ。

抗議側は香港政府とも討論したが、香港政府は中国に逆らえないことがよく分かったという。雨傘運動の街頭抗議活動は当局側に押さえ込まれる形で14年12月中旬までに終結した。黄氏は、「雨傘運動後には失望感も出た。民主の実現に疑問も出た」と認めた。

しかしその後、香港を巡る中国の動きはさらに不穏になっていった。2015年には、中国共産党上層部のスキャンダルやゴシップなど中国大陸では販売できない書籍を扱っていた書店の関係者が次々に姿を消した(銅鑼湾書店事件)。同事件はしばらくして、中国当局による拉致だったと分かった。

17年1月には実業家の蕭建華氏が香港のホテルから連れ去られた。蕭氏は山東省出身で、中国共産党党員でもあるとされる。現在は腐敗事件にかかわった疑いで北京市内の某所で取り調べ中との説もある。

黄氏らは同事件について「親中派が中国の権力争いに巻き込まれた」との見方を示し、「香港では最低限の安全が保証されていると思われていたが、絶対ではなくなった」、「英国スウェーデンなど外国国籍を持っていても拉致された」、「イミグレーションを通過し本土に運ばれた」として、「中国共産党は香港で、中国の法律にもとづいて行動している」と主張した(筆者注:中国側の拉致が事実とすれば中国本土の法律でも認められない行為)。

■香港で「1国2制度」は崩れた、すでに「1国1.5制度」だ

香港では16年9月に立法会(議会)選挙が実施された。注目を集めたのは独立派政党の青年新政からも当選者が2人出たことだ。しかし梁振英行政長官らが、2人は10月の宣誓式で定められた宣誓文を唱えなかったなどとして、議員資格の剥奪を求める訴訟を起こした。2人は敗訴し、議員資格を剥奪されることになった。

周氏らは、「香港には三権分立や法治があるはずなのに香港政府の法解釈で議員を辞めさせられる。実際には中国当局の考えだ」などと主張。梁行政長官らは12月になり、宣誓に問題があったとして、新たに議員4人に対して、議員資格の剥奪を求める訴訟を起こした。うち1人は黄、周両氏の所属するデモシスト主席(党首)の羅冠聰氏だ。

周氏らは、裁判で敗訴すれば2000万円以上の費用がかかると説明。政府側による訴訟攻勢が、発足して日が浅い政党にとって金銭面でも大きな脅威になっている実情を紹介した。

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