<コラム>中国をあるく・みる・かんじる、小さな漁村から巨大な経済特区へ成長した深セン、そして今、河北省・雄安が新経済特区へ

秋澤 文芳    2017年5月23日(火) 15時20分

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先月、「特別」な事情もあって半年ぶりにこの地にやって来た。珠海に面した広大な中国南部のこの地を踏むと、なぜか心も落ち着き肺も心臓も脈々と動き出したように感じた。写真は深セン。筆者撮影。

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実は、今回、無査証で北京の大学キャンパスへやってきた。その中国での滞在期間をさらに延長するために深センを訪れた。このようなケースは以前にも何度かあった。昨年末も同様の手続きをとるために北京から急いでこの地を訪れたこともある。その時は関係者の勧めもあって、市内の深セン大学を訪れ観光の実態などを学生などと交流をおこなった。とにかく自由な街である。

なにしろこの深センを含めた広東省は、海外から中国を訪問する「中国最大の入境」受け入れ地区だ。昨年、海外から中国を訪れる観光客等は1億4千万人を超える旅行大国となった。

が、実はこの数字の中で1億人以上が深センを含む広東省から入境している。それもほとんどが「歩いて」中国へ入境しているという統計データだ。この数値は、フランスにおけるインバウンドの実態を示す状況と同じだ。なんとも不思議な「交流ゾーン」だ。

この「1億人」という「数字」を中国政府が都合のいいように国内外に発表している、という指摘もあり、業界を混乱させている。昨年、国外へ出かける「海外旅行」も1億2千万人と言われているが、実際は2千5百万人程度だ。やはり1億人が深センや隣の珠海から歩いて「出国」し、そして中国内外の同胞が香港、台湾を頻繁に往来する数値も含んでいる。

今や、フランス以上に「旅行大国」と言われている中国だが、しかし、実態はこのような「事情」もあり、国内外の関係業界にも思わぬ波紋も投げかけていて、今後の訪日インバウンドの予測数値そのものを見誤るケースも見受けられる。数字とデータだけはもう少しきちんと把握したいものだ。

このように、人の交流・モノと物流、そして陸海空の交通網の飛躍的な発展により、中国内で不動の地位を築いた経済特区・深センであるが、先月になって突然発表となったもう1つの経済特区(華北省)であるが、これまた数年先にはどのような結末を迎えるのだろうかと心配になってくる。党の政策と交通網の整備等により急ピッチで進めようとする雄安区だが、ここ最近の昆明、貴陽,杭州天津及びその他都市での開発区・新区の状況を視察してきたがいずれもが「失敗」となっている地区があり、またこのような例が各地にて続々と生じている。まさに「鬼城」である。

いずれもが乱開発と過剰な投資結果によるものである。先般閉幕した一帯一路の国際フォーラムには予想以上の各国首脳や閣僚等が千名以上も集まり中国の巨大なマネーに関心を寄せた。

今後の経済圏構想(一帯一路)の参加国に、5年間で最大1500億ドル(約17兆円)を投資する方針だと言われているが、今後心配するのは、中国外での「鬼城」の出現だ。周到な計画と予測に基づき、参加国の経済事情に即したプロジェクト内容と、計画にあった5年、10年という元借款などを正確に予測し、開発途上国等の実情にあったものを推進されることを切に望む。

■筆者プロフィール:秋澤 文芳

東京(豊洲)在住。1973年千葉大学卒。日本旅行業協会を経て2010年より北京第二外国語学院大学旅游管理学部研究生として現在も在籍。工学院大孔子学院旅講師、東京都日中友好協会常務理事として交流促進。観光文化ツーリズム(株)代表として旅游企画・訪日インバウンドに取組む。

■筆者プロフィール:秋澤 文芳

東京(豊洲)在住。日本旅行業協会を経て2010年より北京第二外国語学院大学旅游科学学院研究生として現在も在籍。東京都日中友好協会副理事長・経済ビジネス委員会委員長。日中観光文化研究所、観光文化ツーリズム等の代表として旅游・訪日インバウンドやコンサル業務に取組む。

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