「主軸経済ベルト」が「一帯一路」とつながる日

月刊中国ニュース    2017年4月2日(日) 15時10分

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この構想が実現すれば、中国の第二次改革開放を推し進める新たな「成長の極」となるだろう。

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中国で経済的に最も活況を呈している東南部の沿海地域と「一帯一路」の「一帯」に当たる「シルクロード経済ベルト」の最前線に位置する西北地域とが結びつき、リニアモーターカー高速鉄道といったハイテク軌道交通で、深セン長沙武漢重慶西安・蘭州・西寧・ウルムチの8つの重要都市がつながり、さらにこの8都市を自由貿易区にすれば、今の海岸線を1000キロメートルほど水平移動させたような効果が生まれ、国際市場に近接した主軸経済ベルトが内陸にもう1つ生まれることになる。主軸経済ベルトは広東省、湖南省、湖北省、重慶市、四川省、陝西省、甘粛省、青海省、新疆ウイグル自治区の9つの行政区を貫き、幹線交通、インターネットおよび資源の供給ラインによって1つになる。こうして地理的優位性と結びつく条件を形成し、さまざまな要素の流れと経済連携が活発になり、生産、取引、輸送のコストを下げ、人口を引き寄せ、産業が軸の周辺に集まり、物流、科学技術、産業協力、文化交流の一大チャネルがつくられ、地域の発展を促進する。

主軸経済ベルトが形成されれば、その効果がおよぶ範囲は経済成長の極となるこの8都市の範囲を大幅に超えるだろう。生産要素は大小さまざまな中心都市から軸に沿って発展の余地を広げ、内陸部の発展をサポートする両翼が形成され、両翼の発展が絶え間なく促進される。その効果は開発の遅れた地域にも深く入り込み、さまざまなレベルの地域の行動主体が国際的な協力や競争に参加するよう促し、中西部地区の都市と農村の経済・社会の発展と国際化が促進される。こうして、点から軸、軸から面への新たな発展の枠組みが形づくられていくのだ。

西部地域の発展を促進

主軸経済ベルトの計画は、国内外の2つの情勢を考慮しておこなわれる。国際的には「一帯一路」の「シルクロード経済ベルト」と「海上シルクロード」の陸海を結びつけ、「一帯一路」を推進し、戦略地政学としての「西進(西部エリアへの進出)」をさらに安定的かつ着実で強固なものにしていくための戦略基地および動力源とする。国内的には、「西部国土改造」を核とする西部大開発を推し進め、広大な西部エリアの発展が東部と足並みをそろえるようにし、中国の「第二次改革開放」の新たな成長の極にしていく。

主軸経済ベルトの8つの主要都市のうち、深セン市が東部の発展した地域に属する以外は、すべて中西部の開発が遅れた地域に位置する。そのうち長沙市と武漢市は中部に、重慶市と西安市は中部と西部の境にあり、蘭州・西寧・ウルムチの3市は西部の都市である。つまりこの計画は戦略設計において、まず中西部を発展させ、特に大西北(陝西省、甘粛省、寧夏回族自治区、青海省、新疆ウイグル自治区および内モンゴル自治区の一部)の発展を戦略の重点に置く。これは「主軸経済ベルト」と「西部大開発」の両者を有機的に結び付け、統一し、協調させていくことをねらいとしている。

改革開放以来、西部地域の発展のテンポが東部地域に比べて遅れているのは、主に3つの制約的要素が原因となっている。1つ目は極度の水不足、2つ目は広大な面積に対して人口が少なく交通が未発達であること、3つ目は内陸部にあるため、海運と貿易に極度に依存する対外開放の波に乗ることができないということである。

主軸経済ベルトの形成、とりわけ大西北を貫き、西アジアや中央アジア、ヨーロッパに直接つながる高速鉄道や高速道路網の建設が実現されれば、西部域の道路網の整備が遅れ、閉鎖的であり、対外開放が難しいといった問題は解決できる。だが、水不足が解消されなければ西北地域は今後、飛躍することも東部地域と肩を並べることも難しい。

したがって、「荒涼」と形容される西部地域を、人々が自ら望んで住みたがるような暮らしやすい地域に変えていくために「西部国土改造」計画が必要になってくる。永遠に出稼ぎに頼るわけにはいかないのだ。

そのためにはまず「大西線南水北調」プロジェクト(南部の水を北部に送る大規模プロジェクト)を実現して、大西北を数千年にわたって苦しめてきた水不足を根本的に解消することが必要だ。

大西線南水北調プロジェクトは、長江上流の四川省、チベット自治区から大西北の黄河上流に大量の水を引き、同時に珠江上流の広西チワン族自治区、貴州省、雲南省地域で台風の時期に起きる大規模な洪水の水を四川省、チベット自治区の長江上流に引き入れ、送水で少なくなった水を補うという構想だ。まず珠江上流の大量の余分な水を巨大なダムや水路、ポンプ場によって多段式で汲み上げ、長江上流に運び、さらに大西北地域の黄河上流に移す。このプロジェクトで年間約1000億立方メートルの水が調達できれば、広大な西北地域の荒涼とした地域を一変させることが望めるばかりか、不毛の地にも人が住めるようになるかもしれない。

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