<写真特集>チベット、ヤムドク風光―聖湖の景色

張自都   2016年8月9日(火) 0時30分

清冽な自然を抱く風景写真を代表作とする張自都。チベット三大聖湖・ヤムドク湖を撮影した「中国チベット、ヤムドク風光」は、現実の風景なのか、作者自身の想像の世界なのか、その境界線がわからなくなるほど浮き世離れした聖地の光景を映し出している。

風景・人文写真とマクロ撮影をメインに活動する写真家・張自都(ジャン・ズードゥー)は、チベットやスイス、ドイツの森林地帯シュヴァルツヴァルトなど清冽な自然を抱く風景写真を代表作としている。

ラサ郊外にあるチベット三大聖湖・ヤムドク湖を撮影した「中国チベット、ヤムドク風光」は、おおよそ現実の風景そのままなのか、それとも作者自身の想像の世界を創作したものなのか、その境界線がわからなくなるほど浮き世離れした聖地の光景を映し出している。ここには唯一、女性の活き仏が営む寺院があり、また湖そのものが、女性の護法神(仏教の教えを守る神)の化身と考えられている。

鮮やかすぎる空の青も、鏡面のような湖面も、まるで絵筆で描き足したかのようなタルチョ(祈祷旗)も、まるでシュルレアリスムの世界のよう。宗教の聖地といった重々しい風情よりも、鋭い陽光が溢れるカラリとした自然のシンプルな力強さが前面に押し出されている。(文/山上仁奈)

●張自都(ジャン・ズードゥー)

1949年、重慶生まれ。写真家。人文・風景写真やマクロ撮影を得意とし、チベットやヨーロッパの風景写真は特に高い人気を誇る。コンテストでの受賞歴多数。代表作に「中国チベット、ヤムドク風光」「ポタラ宮の朝」「雨景」など。

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