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22日、澎湃新聞は韓国独特の家賃制度を利用していた住民が不動産価格の暴落により家を追われるケースを紹介した。写真はソウル。
2025年9月22日、中国メディアの澎湃新聞は、韓国独特の家賃制度「チョンセ」を利用していたマンションの住民が、不動産価格の暴落により家を追われるケースが増える可能性について論じた。
記事は初めに、韓国の首都・ソウル市内のマンションに住んでいた女性・朴南順さんを取材し、マンションを追い出されることになった経緯を紹介した。
農村出身でシングルマザーの朴さんは、実家の農地を売った両親の援助もあり、ソウル市内のマンションを購入しようと考えていたが、当時は新型コロナウイルスの流行期で不動産価格が高騰していたため、購入ではなくチョンセを利用して借りることにした。
チョンセとは韓国独特の家賃制度で、家の借り手が大家に対し、毎月の家賃の代わりに住宅価格の6~7割の保証金を一括前払いし、大家は受け取った保証金をさまざまな形で運用して収入を得るというもの。朴さんは全財産で保証金を大家に支払い、これで2年は安定した生活が送れると考えていた。しかし大家はその保証金で部屋を買い続けており、大家の口座にはお金が無くなっていた。結果、22年に米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを11会合ぶりに見送ったことをきっかけに不動産価格の暴落が起こり、破産した大家の所有する住宅は銀行に差し押さえられた。チョンセでは本来、退去時に保証金が戻ってくるが、朴さんの保証金は現行の法律の規定により、大家が銀行への返済を終えた後に残った大家の財産から支払われることになった。朴さんは「大家の財務状況で保証金が戻るはずがない」として、政治家や裁判所などへの異議申し立てに奔走しているという。
記事によると、チョンセ関連の資金総量は最高で1058兆ウォン(約112兆円)に上り、韓国の国内総生産(GDP)の42%に相当する。また、今回の不動産市場の暴落で3万2000世帯が破産するとのデータもあり、暴発すれば韓国経済全体の崩壊もあり得るという。チョンセの利用者は4年前の50%と比較して、現在は3割ほどに減っているが、韓国政府は融資を増やして市場を安定させながら、差し押さえられた住宅を購入するための特別国債を発行し、全財産を失った元入居者に安価で貸すという対策を立てている。
記事は最後に「朴さんのような状況は決して特殊ではなく、同様に保証金の返還が望めなくなったマンションの住人が住んでいた部屋の中で自殺したケースもある。このような人々にとって、差し押さえや競売はお家断絶というだけでなく、巨額の負債を負うことを意味する。幸運なことに住宅価格は今のところ安定しているが、残念なことに住宅価格がさらに10%下落すれば、4分の1の大家が破産するだろう」と指摘した。(翻訳・編集/原邦之)
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