八牧浩行 2014年10月20日(月) 6時45分
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IMFによると、購買力平価ベースのGDPで中国が今年、米国を抜いて世界一に躍り出る。(1)中国17兆6320億ドル、(2)米国17兆4162億ドル、(3)インド7兆2772億ドル、(4)日本4兆7880億ドル―の順。写真は上海。
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IMF(国際通貨基金)はこのほど、為替の影響を排除した購買力平価(PPP)ベースのGDPで中国が今年、米国を抜いて世界一に躍り出る、との見通しをまとめた。2014年の購買力平価GDPは、(1)中国17兆6320億ドル、(2)米国17兆4162億ドル、(3)インド7兆2772億ドル、(4)日本4兆7880億ドル、(5)ドイツ3兆6213億ドル―の順となる。
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1820年までは中国(明、清など)のGDPは世界全体の30%以上を占め世界1の経済大国だったが、産業革命に乗り遅れ、1840年のアヘン戦争以来、ヨーロッパ帝国主義や日本軍国主義に侵略され没落。ところが改革開放路線に転換した1978年から2012年にかけて、年平均10%に迫る高度経済成長を達成。「国家市場原理」を旗印に、奇跡的な急回復を実現した。購買力平価ベースのGDPは各国の物価水準の違いを修正したもので、より実質的な比較が可能とされている。
一方、OECD(経済協力開発機構)、IMFなど各種国際機関の中期経済予測でも世界全体のGDPに占める中国の割合は2014年の13%から24年には20%に拡大し、「世界一の経済大国になる」という。20年代までに中国は名目ドル建てGDPでも米国を抜く計算だ。米調査会社HISもこのほど、中国のGDPが2024年に、米ドル建ての名目値ベースで米国を追い越すとの見通しをまとめた。
◆「バブル崩壊予測」は少数派
英スタンダードチャータード銀行が発表した「中国の経済発展予測」でも、中国のGDPは22年にアメリカを超えて世界最大となるという。英エコノミスト誌が編集した「2050年の世界」によると、2050年に世界全体の中で占めるGDPシェアは、中国30%、米国18%に縮小、日本はわずか3%にとどまるというから衝撃的だ。
中国政府系シンクタンクの国務院発展研究センターがまとめた「中国経済成長の10年展望」は、中国が2022年に、名目国内総生産(GDP)で米国を追い抜き、世界最大の経済大国になると予測した。中国のGDP規模が最近の為替レートで2020年には21兆ドルと4倍近くに膨張。この年の米国の23兆4千万ドルに迫り、22年にも米国を抜き去るというシナリオだ。経済成長パターンを「世界の工場」と呼ばれた製造業中心から、「世界の市場」に変身しつつ、小売業やサービス業、金融など国内需要を伸ばして拡大すると予測している。
日本のエコノミストの中には「中国経済はバブルが崩壊するのでGDPが米国を抜く日は来ない」との予測も散見されるが、国際的には少数派。大半の予測機関は「衰退しつつある米国に代わっていずれ中国が世界一の経済体になる」と冷静に分析している。
(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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