昔ライダー、今ポケモン=「おまけ商法」が招く食品ロスと転売問題

邦人Navi    
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日本でマクドナルドのハッピーセットの「ポケモン」の景品が発売直後に品薄となり、高額転売や食品ロスへの懸念が浮上した。

日本でマクドナルドのハッピーセットの「ポケモン」の景品が発売直後に品薄となり、高額転売や食品ロスへの懸念が浮上した。昭和のカルビー「仮面ライダースナック」騒動から半世紀。大人の欲望が子どもの笑顔を奪いかねない今回の事態は、当時よりも深刻さを増したものに見える。

ポケモン景品が「瞬間蒸発」

マクドナルドのハッピーセットに再び「ポケモン」が登場した。おもちゃは全9種を第1弾(8/8〜14)、第2弾(8/15〜21)で展開し、8月22日からは全種そろう総集編が始まる。8月9~11日の3日間限定でオリジナル「ピカチュウ」カードとランダム1枚のセット配布する企画も大きな話題を呼んだ。

キャンペーン開始直後からSNSには画像や開封動画があふれ、週末を待たずに多くの店舗で「配布終了」の告知が相次いだ。需要の高まりを受け、公式は「1人5セットまで」「転売目的や食べきれない量の注文は控えるように」と呼びかけたが、ネットオークションやフリマアプリではカード単体やセット品が高値で取引されている。

転売ヤーが招く食品ロスと衛生リスク

こうした過熱ぶりは単なる供給不足以上の問題をはらむ。第一に食品ロス。景品だけを目当てに購入し、ハンバーガーやポテトが廃棄されれば、企業や自治体が推進する食品ロス削減の努力に逆行する。

第二に衛生・法令面の懸念。未開封食品を個人が無許可で販売する行為は、自治体によっては食品衛生法違反とみなされる可能性がある。さらに、賞味期限切れや不適切な保管による劣化は購入者の健康リスクに直結する。

昭和の既視感、仮面ライダースナック事件

景品目的の大量購入と食品廃棄という問題は半世紀前の「仮面ライダースナック投棄事件」をほうふつさせる。カルビーが発売したスナックのおまけに付いた仮面ライダーのカードにコレクション熱を刺激された児童が殺到した事件で、児童はカードだけを抜き取り、スナック菓子を捨てた。

スナック自体が今一つおいしいものでなかった。ただ、食べ物を粗末にする行為に対して新聞やテレビで批判が相次いだ。「おまけ商法の負の側面」を象徴する出来事として今も語り継がれている。

食品ロス法と景品規制の現代ルール

現代では、日本と中国それぞれで食料ロス削減の取り組みが進む。日本では2019年施行の「食品ロスの削減の推進に関する法律」により、国や自治体、事業者が啓発活動やフードバンク支援を推進。さらに景品表示法で過大な景品提供を規制し、過剰販促による廃棄防止も図っている。

一方、中国では20年から全国的な「光盤行動(食べ切り運動)」を展開。外食産業や消費者に「食べ残さず皿を空にする」行動を促し、行政・企業・メディアが連携して過剰注文を減らしてきた。アプローチは異なるが、いずれも「必要な人に、適量を、安全に」という価値観を共有し、食品を粗末にしない社会を目指している。

50年越しの問いかけ、おまけと食品の値打ち比べ

企業が今回のような食品ロスに直面する事態を防ぐためには、需要の平準化や転売対策、そして食品ロスを抑える設計が欠かせない。具体的には、アプリ予約や事前抽選、後日引換券方式などで発売初日の過熱を抑える仕組みを整えること。さらに、店舗での購入上限の徹底に加え、フリマアプリやECサイトと連携し、明らかな転売を削除対象とする監視体制を構築すること。そして、景品を食品と切り離し、後日配送やポイント交換方式を導入することで、余剰食品を減らし、必要に応じてフードバンクなどへの寄付につなげることだ。

「おまけ」は購買促進の強力な手段だが、それが食品の価値を下げてしまっては本末転倒であり、半世紀前の状況と今に共通点を見出すことができる。その一方で、50年前は一部の人間による大人買いや買い占めという手段によって子どもたちが夢を奪われるという事態はなかったと記憶する。

また、当時は下降が顕著になってきたとはいえ食料自給率が50%あり(24年は38%)、コメについては満ち足りていた。「食べ物を粗末にすること」自体が由々しき事態であり、「コメが食えなければマックを食え」という問題でもないだろう。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。



   

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