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中国で都市生活のスキマ時間をお得な体験に変える新サービスが登場した。
中国で都市生活のスキマ時間をお得な体験に変える新サービスが登場した。エレベーターホールのデジタルサイネージ(電子看板)に設置された青いNFCリングにスマートフォンをかざすだけで、紅包(ホンパオ)やクーポンが即時獲得できる。フォーカスメディアとアリペイがタッグを組んだ「タッチでホンパオゲット」キャンペーンのビジネス革新性について見ていこう。
「タッチでホンパオゲット」の仕組みは、その簡潔さゆえに革新的だ。全国20以上の都市のオフィスビルなどのエレベーターホールに設置されたデジタルサイネージに付属した青いNFCリングにスマートフォンをかざすだけで、ホンパオやブランドクーポンが瞬時に獲得できるのだ。この体験の設計は退屈になりがちなエレベーター待機時間をワクワクする「得する瞬間」へと変容させる。
操作プロセスはわずか3ステップだ。第一にスマートフォンのNFC機能をオンにしてロックを解除し、第二に青いリングに端末を1センチ以内まで接近させ、第三に「ピン」という音とともに自動でアリペイのカードパックに報酬が格納される。この流れるような操作性こそが、幅広いユーザー層に支持される決定的要因となっている。
新技術の導入で最大の懸念となるのは安全性だが、本システムは多層的な防護措置を実装している。デバイスが作動するには、ユーザー自身がスマートフォンのロックを解除し、センサーに接近させる。こうした能動的な操作を必須条件にすることで、誤作動や不正アクセスを根本から排除する。
さらに、このデバイスにはホンパオやクーポンの受領機能しか搭載されておらず、直接の決済や引き落とし機能は一切ない。フォーカスメディアとアリペイは「タッチすれば補償」と呼ぶ保証制度を導入し、万一資金に関する問題が発生した場合でも全額補償を約束している。
本キャンペーンの商業的成果は定量データによって裏付けられている。フォーカスメディアが保有する300万カ所のエレベーター設置拠点と都市部4億人に及ぶ消費者へのリーチ力にアリペイのデジタルサービスが融合した。このことで、クライアント企業は「接触から実際のアクション展開まで」の完全なファネルを手にした。
サントリーの上海・杭州における実施事例では、設置拠点の1日当たりのアクティブ率が65%向上し、杭州でのクーポン取得率は68.6%、上海での遷移到達率は66.8%を記録。売上高も前月比で顕著に増加しており、これらの成果がモデルの高い効果性を如実に示している。
アリペイは1億元(約20億円)のホンパオ、数千万枚の無料券、大量のブランドクーポンを投入し、本プロジェクトへの強力なコミットメントを表明している。現在40万台のデバイスが稼働中で、年末までに200万台への拡張が計画されている。
本モデルの真価は、フォーカスメディア自らのビジネスモデル変革にある。従来の「日次課金型広告表示プラットフォーム」から「コンバージョン連動課金モデル」へとシフトし、今後1~2年間で5億~15億元(約100億~300億円)の追加収益の創出が見込まれている。これは、広告業界が「取引サービス」の足がかりを得たという点で、決定的な進化だといえる。
フォーカスメディアとアリペイの取り組みは、商業的成功を超えた社会的意義も有している。受動的だった広告視聴体験を、消費者が自ら「タッチする」能動的体験へと変換したことで、現代マーケティングの新たなパラダイムが具現化した。
また、中国政府の内需拡大政策とも高度に整合したモデルであることも追い風となっている。フォーカスメディアのネットワークを通じて断片化された消費ニーズが規模経済へと統合され、従来の「広告露出から購買転換まで」の長い経路を大幅に短縮する。まさしくオフラインシナリオにおける商業価値が再構築されるのだ。
「タッチでホンパオをゲット」のスローガンで展開されるモデルは、スマートビジネスの新たな入り口として、消費市場に長期的な活力を注入する可能性を秘めている。消費者には「便利とお得」を、各ブランド企業には「新たな販売チャネル」と「データドリブンなROI(投資利益率)向上」を、そしてフォーカスメディア自身には「ビジネスモデル変革の機会」を提供する。まさに三方よしの構造であり、他業界や地域への横展開を促進し、広告業界全体のデジタル変革を加速させる起爆剤となりそうだ。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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