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中国経済が減速する中、国有企業などにも不況の影が忍び寄っている。企業などによるコスト削減のしわ寄せを最も大きく被っているのが労働者で、給与カットや未払いも増えている。写真は中国の労働者。
中国経済が減速する中、国有企業や地方政府にも不況の影が忍び寄っている、とロイター通信が報じた。企業などによるコスト削減のしわ寄せを最も大きく被っているのが労働者で、給与カットや未払いが増えている実情を紹介。消費者は支出を先送りし、持続的なデフレで経済がさらに悪化するのではないかとの懸念が高まっている。
ロイター通信によると、国有企業に勤める張さん(30)は、平日の勤務後や週末ごとに各3時間、料理宅配のドライバーとして働いている。給与が24%カットされた穴を埋めるためだ。
「国有企業で働きながら宅配仕事を掛け持ちするなんて、あまり体裁の良いものじゃない」と語る張さんは副業中に同僚に出くわさないことを願っている。本業である不動産関連の国有企業の月給は4200元(約8万4000円)と以前の5500元から大幅に減り、「他に手立てがない」と行き詰まりを感じている。
夜11時半までスクーターで配達をこなし、1晩に60~70元を稼ぐ。「給与カットは大きなプレッシャー。多くの同僚が仕事を辞め、その分も自分が引き継いでいる」という。
中国政府は輸出や製造業の活況を維持することで経済成長を支えてきた。しかし、需要減退で企業利益が落ち込み、その影響が賃金の削減という形で労働者に波及。張さんのような国有企業の社員が副業に就かざるを得ない状況が生まれている。
中国南部・広西チワン族自治区の人口200万人強の都市、崇左。教師の黄さん(28)はこの2,3カ月、勤務先の学校から給与をもらっていない。学校は地方政府からの資金が届くのを待っている。地方政府は多額の債務を抱えている。
黄さんは「我慢するしかない。辞める勇気はない」とあきらめ顔。月給5000元が入らないときは両親の支援に頼っている。「もし結婚していて、住宅ローンや自動車ローン、子どもを抱えていたら、そのプレッシャーは想像を絶する」と語る。
政府部門の給与遅れに関する公式データはないが、産業政策を通じて国家の関与が強い分野や公益など政府が直接所有する企業で未払いが急増している。
例えば、中国の経済計画で優先的な扱いを受けている「コンピューター・通信・電子機器製造」と「自動車製造」の2分野。給与支払いの遅延が1~5月にそれぞれ前年同月比で16.6%、11.2%増加し、産業全体の平均9%を上回った。
グローバルデータ1TSロンバード(GD-TSL)APACの上級エコノミストは「こうした数字は資金繰りのひっ迫を示しており、中国政府が需要よりも生産量を優先していることの副作用だ」と指摘。「その結果、こうした重点産業は将来的に成長鈍化に直面するだろう」と警鐘を鳴らした。(編集/日向)
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