ノーベル賞から見る日本の科学研究の利点と問題点―中国メディア

Record China    2014年10月14日(火) 8時32分

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13日、ノーベル賞受賞者を数多く輩出する日本の科学研究は一見無限の可能性を秘めているようにも思えるが、同時にさまざまな憂いをも秘めており、日本のノーベル賞受賞のボトルネックとなりそうだ。資料写真。

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2014年10月13日、2014年度のノーベル物理学賞が7日発表され、日本人科学者2人と日系米国人1人がその栄誉を獲得した。ノーベル賞受賞者を数多く輩出する日本の科学研究は一見無限の可能性を秘めているようにも思えるが、同時にさまざまな憂いをも秘めており、日本のノーベル賞受賞のボトルネックとなりそうだ。人民網が伝えた。

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日本がノーベル賞大国となったのは、伝統的な「職人」精神や教育の質などさまざまな理由が挙げられるが、これらはいずれも日本の充実した科学研究体制の賜物であろう。日本にも大学ランキングなるものがあるが、その順位がすべてというわけではなく、あくまでも「能力主義」が重視される。今年のノーベル賞受賞者の一人である赤崎勇氏は名古屋市のある私立大学、名城大学の教授で、日本以外ではあまり知られていない大学だ。赤崎氏の弟子である天野浩氏は名古屋大学の教授で、国立大学の中では決して一流大学ではない。日本社会と政府はノーベル賞を非常に重視しているが、科学技術メカニズムの下で、研究経費を科学発展の様々なニーズを考慮しながら分配する必要があり、ノーベル賞受賞が期待できるプロジェクトだけを重視して、国を挙げてノーベル賞を量産体制を作り出すことは不可能だ。

日本の科学技術分野の特殊性は他にもある。それはノーベル賞受賞者の多くが民間企業の人間であり、サラリーマンやエンジニアであるということだ。この点は中国人が想像する「科学者」のイメージとはかけ離れている。企業における科学研究のエネルギーは「能力主義」、「現場主義」である。田中耕一氏は修士の学位も取得しておらず、ノーベル賞を受賞してから部長に引き上げられた。大学が自身の競争力を確保するために先進的な基礎研究プロジェクトを維持していかなければいけないのと同じく、企業も技術の優位性を確保するため、一部の基礎研究は戦略的かつ長期的なもので、売上高に占める研究経費の比率も取締役会の決定事項であり、容易に動かすことはできない。

近年、日本経済は長期的低迷に陥っているため、政府は学術機関の財政支出を大幅に削減し、研究者の学術経費や給与を制限し、日本の多くの大学や研究所が一流科学者の流出を防げなくなってしまった。安倍政権は2020年までに日本の大学10校を世界のトップ100に押し上げるよう求めているが、学術分野の財政支出削減はこの目標の実現を非常に困難なものにしている。限られた資金は大学の教育と研究環境を改善する能力を制限し、大学の国際社会での競争力低下という結末をもたらした。

だが、日本は2008年まで16人だったノーベル賞受賞が、その後たった6年で22人にまで増えており、平均すると毎年1人のノーベル賞学者を輩出していることになる。周知の通り、この6年間は日本にとってみれば、政治は空前の大混乱に陥り、経済大国の座から滑り落ち、中国に逆転を許した暗澹たる時期であった。この大きなギャップの背景もまた十分に探ってみる価値があるだろう。

ある研究が発表されてからノーベル賞を受賞するまで、通常数十年、あるいはそれ以上の歳月をかけ検証が行われる。日本がノーベル賞を立て続けに受賞できたのは、過去数十年の間に日本が科学研究に力を注ぎ、長期的に蓄積を続けてきた結果であろう。しかし近年、今回のノーベル物理学賞受賞者である中村修二氏を含む日本の優秀な科学者が米国に渡ったり、ノーベル賞候補のプロジェクトがスキャンダルになるなど、日本の科学研究メカニズムに不備があることもまた明らかになっている。この先20年間も、日本はノーベル賞という競争の中で前を走ることができるのだろうか。

中国の科学者のノーベル賞受賞にはまだ時間を必要とするが、日本の科学研究の利点と問題点を教訓にしていかなければならない。(提供/人民網日本語版・翻訳/IM・編集/TF)

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