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中国メディアの中国新聞社はこのほど、中国が消費超大国を目指す理由と、実現させるための他分野にわたる「骨太のロードマップ」を紹介する記事を発表した。写真は中国の一大消費地である上海市の外灘で撮影。
中国は、消費の活性化に力を入れている。14億以上の人口を有する大市場だけに、うまく運べば世界一の消費超大国が出現することになる。しかし、一筋縄ではいかないのが現実だ。中国メディアの中国新聞社はこのほど、中国が消費超大国を目指す理由と、実現させるための多分野にわたる「骨太のロードマップ」を紹介する記事を発表した。以下は、その主要部分を再構成した文章だ。
世界銀行によると、2023年における世界全体の個人消費支出のGDPに占める割合は平均56.5%で、高所得国では58.7%、中所得国では52%だった。しかし中国ではわずか39.6%だった。中国経済は有効需要の不足、特に消費低迷という課題に直面しており、消費が経済の主たるエンジンとしての役割を十分に果たすためには、一層の努力が必要だ。2025年の政府作業報告では、「内需、特に消費の弱点を補い、内需を経済成長をけん引する主たる力、かつ安定の錨(いかり)とする」ことが提起された。
経済成長は主に「三つのエンジン」、すなわち投資、消費、輸出によってけん引されるが、現在は投資では「量」よりもの「質と効率」が重視され、輸出は伸び悩んでいるため、消費に対する期待が高まっている。
まず、輸出をもたらす外需は国際情勢の影響を大きく受ける。2020年以降の世界貿易の激しい変動がその明確な証拠だ。現在は特に、米国政府が関税を乱用しており、世界経済の安定を損ねている。そうした中で、内需は「信頼できる安全装置」として外部からの衝撃を効果的に緩和する役割を果たし得るため、消費の活性化は中国にとって必然の選択になった。
国際的な発言力の観点からも、成熟した消費大国は世界貿易においてより大きな影響力を持ち、その消費傾向とモデルは国際市場の構造に深い影響を与え、中国経済の国際的な発言力の向上につながる。また、消費大国になることは、中国と世界経済の相互作用にも関係する。内需拡大は各国企業により広大な新規市場をもたらし、経済および貿易での中国と世界の関係の最適化に寄与する。さらに、消費の活性化はサービス業など多くの分野の発展を促し、より多くの雇用を生み出し、国民の収入増の道を広げる。
問題はいかにして消費超大国になるかだ。ここで重要なのは政策の方向性と力度だ。つまり、マクロ政策はより積極的かつ有効でなければならない。中国のマクロ政策はすでに転換を始めており、経済政策の着眼点は民生の改善や消費の促進にますます向けられている。中国政府は、消費によって経済循環のスムーズ化を図り、消費の高度化によって産業の高度化をけん引しようとしている。
消費の活性化の要は、住民が「消費できる」「消費したい」「消費を恐れない」ようにすることにある。そのための政策の組み合わせはすでに明確だ。
まず、多くのルートで住民の収入を増やすことだ。すなわち長期的な収入増加メカニズムを構築し、住民が使える金銭を確保する政策だ。また、社会保障制度を整備して、医療、年金、教育などの保障を実効的に実現して、住民の不安を取り除いて、消費者の信頼感を高める政策だ。
消費に対応するための供給側の高度化も欠かせない。日増しに個性化、高品質化する消費需要に応えるために、中国は市場参入の緩和、制限の削減、監督管理の最適化といった面から着手し、健康、年金、障害者支援、保育、家事サービスなど多様なサービスの供給を拡大し、デジタル、グリーン、スマートといった分野に属する新たなタイプの産業を充実されて、消費を引き出している。中国はまた、買い替え促進政策の強化によって、5月にはは2024年初以降で最も大きな消費の伸び幅を記録した。
消費大国の構築には、短期的な政策だけでなく、中長期的な制度構築を結びつける必要がある。財税制度の改革はその重要な一環だ。中国では長年にわたり生産段階で消費税を課してきたため、消費地の政府には地元の消費を促進する動機が欠けていた。中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)では「消費税の課税段階を後ろに回し、段階的に地方に移譲する」ことが打ち出された。このことで、地方政府の消費拡大への積極性が喚起され、「投資重視・消費軽視」の傾向を是正することが期待される。
全国統一市場の構築を加速することも鍵だ。7月1日に開催された中央財経委員会第6回会議では、全国統一市場建設「ロードマップ」が明確にされた。このことで、生産、分配、流通、消費の各段階の流れがより円滑になり、消費の潜在力が効果的に引き出されることが期待される。
製造大国から消費大国への飛躍は、中国の経済発展の必然的な流れであり、民生の向上に向けた重要な道でもある。そして、先を見据えた大転換であり、実現に伴い中国経済の未来が根本から再構築されることになる。(翻訳・編集/如月隼人)
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