【観察眼】平和は歴史の真実を尊重することから始まる

CRI online    2025年7月2日(水) 18時20分

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2025年6月30日、第二次世界大戦中に日本へ強制連行された多くの中国人が犠牲になった「花岡事件」から80年を迎えた。

2025年6月30日、第二次世界大戦中に日本へ強制連行された多くの中国人が犠牲になった「花岡事件」から80年を迎えた。この日、事件が起きた秋田県大館市には、中日両国の関係者220人以上が集い、犠牲となった労働者を追悼するとともに、「歴史の悲劇は決して繰り返してはならない」との誓いを新たにした。国境を越えたこの追悼行事は、両国民の平和への共通の願いを映し出すと同時に、歴史の責任追及の難しさも浮き彫りにした。

第二次世界大戦末期、日本の軍国主義体制は戦争継続のため、1943年から1945年にかけて約4万人の中国人を日本に強制連行し、労働に従事させた。このうち986人は秋田県の花岡鉱山での過酷な労働を強いられ、1945年6月30日、彼らは尊厳を守るために蜂起した。しかし、日本側は軍隊や警察、あわせて2万人を動員してこれを鎮圧し、282人が虐殺された。さらに147人が過酷な労働と非人間的な扱いにより命を落とした。この痛ましい歴史は、中日関係における重い一ページであるとともに、人類文明の歩みにおいて消すことのできない傷でもある。

80年の歳月が過ぎた今日においても、花岡事件の歴史的意義と責任追及をめぐる議論が続いている。

民間では、平和と友好を愛する多くの日本の人々が歴史の真実を守るための行動を続けてきた。1950年代には日本の仏教界が中国人労働者の遺骨収集・保管、中国への送還運動を支援している。1963年には、花岡町の十瀬野公園墓地に「中国人殉難烈士慰霊之碑」が建てられ、花岡で犠牲になった419人の名が刻まれた。また、1950年に旧花岡町の主催で始まった中国人殉難者慰霊式は、事件発生から40年目となった1985年に、大館市が中心となって十瀬野公園墓地で大規模に開催され、以来、途切れることなく現在まで毎年執り行われている。そうした中で、2010年に、民間の募金により「花岡平和記念館」が現地で開館し、加害の地での記憶継承の拠点が作られた。

今年の慰霊式では、大館市の石田健佑市長が、「どのような状況下でも(人間の)自由と尊厳を奪う行為は許されない」と語り、「事件を風化させず語り継いでいくことが私たちの使命」と強調した。

市長をはじめ、有志たちの歴史と真摯に向き合う姿勢は評価に値する。

しかし、事件の責任追及という観点においては、いまなお困難が立ちはだかっている。1995年に中国人元労働者らが加害企業である「鹿島建設」を提訴した民事訴訟では、和解が成立したものの、企業側はいまだ正式な謝罪を行っていない。さらに残念なのは日本政府のその責任回避の姿勢である。2015年、生存者と遺族らが、日本政府を相手取り、国家賠償請求を求める訴訟を大阪地裁に提起したが、6年におよぶ裁判の末、最高裁は「日本政府が強制連行に全面的に関与した」と認定しながらも原告の訴えを退けた。

遺族たちなどで組織された花岡受難者連誼会代表の張恩龍さんは今年の慰霊式で、日本政府が歴史的事実を無視し、謝罪と賠償を拒み続ける態度に言及し、「それこそ被害者と遺族にとっては二次被害にほかならない」と改めて訴えた。

今年は中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利80周年にあたる。平和の貴重さをひとしお噛みしめる年ではある一方、ウクライナ危機や中東情勢の緊迫化など、戦争の影はなおも人類の平和を脅かし続けている。こうした中で、アジアの主要国である中国と日本が、人類運命共同体の視点に立ち、歴史に学び、未来を見据え、平和的かつ安定した関係を築くことは、両国が世界に対して果たすべき責務とも言える。

今年の慰霊式に出席した中国紅十字会の王斌副会長は、「歴史を銘記することは、憎しみを引き継ぐためではない。人々に平和への希求とそれを守り抜こうとする意思を呼び覚ますことにある。第二次世界大戦と反ファシズム戦争の教訓から、知恵と力を汲み取っていかなければならない」と語っている。

中日両国が平和な未来を築いていくためには、なによりもまず、加害者が誠実に過去と向き合う真摯な姿勢が欠かせない。花岡事件をめぐる一連の動きが平和を愛するすべての人々に伝えているのは、歴史を直視し、責任を果たすことでこそ、悲劇の再発を防ぎ、真の平和な未来へと歩むことができる、というメッセージである。(提供/CRI

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