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フードデリバリー事業で急成長を遂げた京東が次なる標的として選んだのはホテル・旅行市場だ。写真は中国のホテル。
フードデリバリー事業で急成長を遂げた京東(JDドットコム)が次なる標的として選んだのはホテル・旅行市場だ。同社は6月18日、ホテル事業者に向けて「3年間手数料ゼロ」という破格の条件を打ち出した。これは単なる価格インセンティブではなく、サプライチェーン全体を掌握するという戦略的意図の表れとみられている。
これまでのOTA(Online Travel Agency)は宿泊施設と消費者を結び付ける「情報の仲介者」としての役割に特化していた。しかし現在、競争の主戦場は「供給網の制御」へと移りつつある。
京東はホテル・旅行市場への本格参入によって物流・供給ネットワークの統合体への脱皮を図っている。フードデリバリー事業で培った即時物流インフラ、3万社を超える大企業取引先、800万の中小企業顧客、そして中高所得層が中心を占める3000万人超のプラス会員がその基盤となる。
中国メディアによると、美団(メイトゥアン)のホテル・旅行事業は2022年に45.6%という驚異的な営業利益率を記録した(24年には38%に低下)。これに対し、同年のフードデリバリー事業の利益率はわずか6%で、実に7倍以上の差がある。
このギャップは「人の移動」に付随する体験の価値が極めて高いことを物語っている。単なる配送ではなく、移動と宿泊の複合的な体験価値を通して収益を得ていくことが今後の成長を担うエンジンとなっていく。
もちろんホテル・旅行市場にはすでに強力な競合がひしめいている。美団はローカル消費とのクロスセリングに長け、飛猪(フリギー)はアリババの流通網を背景に持つ。さらに、抖音や小紅書(レッド)はコンテンツによる集客と即時購買転換を可能にする力を武器としている。
これらの競合はいずれも情報の付加価値を最大化する方向で進化しているのに対し、京東は「物流」と「法人顧客との統合」を核とする供給効率で差別化を図る構えだ。
これまでのOTA競争は価格競争やM&Aによる規模拡大が中心だった。しかし、今後は「供給網の効率性」が勝敗を分ける鍵となる。京東は単なる宿泊予約を超え、出張パッケージ、ラウンジアクセス、VIP向けサービスなどを含めた統合的な移動インフラの再構築に向けて動き出した。
宿泊予約を流通業と再定義しようとする京東の挑戦は単なる新事業への参入という意義を超える。流通と供給、情報と物流を一体化した次世代プラットフォームのひな型となっていく可能性を秘めている。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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