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ファーウェイはこのほど、大規模AIモデルの盤古(パングー)の最新版である「盤古5.5」を発表した。これまでのモデルと比べて飛躍的な進歩が見られ、まさに高性能AIの新時代への扉が開かれたと言える。
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華為技術(ファーウェイ)は先ごろ開催したファーウェイ開発者大会で、大規模人工知能(AI)モデルの盤古(パングー)の最新版である「盤古5.5」を発表した。ファーウェイは2023年7月に盤古の最初のモデルである盤古3.0を発表し、2024年6月末には盤古5.0を発表した。中国メディアの中国経済網によると、盤古5.5は盤古5.0と比べても、性能が著しく向上しており、今後の産業界に画期的な「AIツール」を提供していくと予測できる。
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盤古はすでに30以上の業界や500以上の事例に活用されており、政務、金融、製造、医療、炭鉱、鉄鋼、鉄道、自動運転、気象などの幅広い分野で大きな成果を上げてきた。盤古は大別して5種類の機能の集合体と考えることができるが、盤古5.5では、その機能5種のいずれにおいても、大きな飛躍が実現された。
新たな盤古自然言語処理(NLP)大規模モデルは7180億のパラーメーターを扱える深層思考モデルであり、256の専門モジュールで構成される大規模モデルを構築した。このことで知識推論、ツール呼び出し、数学計算の分野で能力が大幅に強化され、業界トップの水準を達成した。
盤古5.5の大規模NLPモデルではまた、高効率な長シーケンス処理、ハルシネーション(誤出力)の低減、高速推論と深層推論の統合、ツール連携やエージェント機能(自律的タスク遂行能力)などの特性が強化された。例えば二段階の漸進学習(学習全体を二大フェーズに分けて、その中で細かく段階的に進める漸進的な学習方式)を通じて、質問の難易度に応じて「速い思考」と「遅い思考」を切り替え、簡易な質問には素早く回答し、複雑な質問には深く思考する方式を実現したことなどで、モデル全体の推論効率を従来の8倍に高めた。
盤古の新たな予測大規模モデルでは初めて、例えば加工作業の表形式データ、工場操業についての時系列データ、製品検査の画像データといった性質の異なる3種のデータを同時に扱って高効率の処理および事前学習を行うことで、予測の精度を大幅に向上させ、また業界や状況の違いを超えた汎用性能も大きく高めた。
盤古科学計算大規模モデルでは、科学アプリケーション領域との融合を拡大した。深セン気象局は盤古をベースにAI大規模モデルの「智霽」は、複数の予想モデルを組み合わせて精度のより高い気象予測を行う「AI集合予報」を初めて実現した。重慶気象台も盤古を利用した気象予測を始めた。盤古を利用した気象予測は災害の予報警戒能力を高めただけでなく、風速や太陽光の強度、河川の水量を予測することで、再生可能エネルギーの利用効率を高めた。
AI分野ではモデルが進化するにつれて、必要な計算力が爆発的に増加しており、従来のコンピュータ構成ではもはや対応しきれない状況だ。ファーウェイそのため、新世代のAIクラウド基盤を開発した。まず、新たな昇騰クラウドサービスでは、クラウドマトリックス384超ノードという新たな構成を採用した。すなわち、384個の昇騰NPUと192個の鯤鵬CPU(汎用プロセッサ)を、高速通信ネットワークで全てのチップ同士が直接通信できるよう接続した。このことで、1台で巨大なAIタスクを処理できる「スーパーAIサーバー」が構築された。このような大きな改良により、推論性能は従来の約4倍になり、大規模AIモデルの並列処理とリソース利用の効率が大きく高まった。
ファーウェイは、超大規模AIモデルの訓練に対応するため、昇騰について最大432の超ノードを連結して16万の計算用カードによる超大規模クラスターを構築可能なクラウド基盤を整備した。これにより、例えば日中には推論をさせ夜間には学習させるなど、学習と推論を柔軟に切り替えての運用も可能にした。このことで計算資源の効率的活用が可能になった。この昇騰AIクラウドサービスは現在、科大訊飛や新浪、硅基流動(シリコンフロー)、面壁智能(メンビ・インテリジェンス)、中国科学院など1300以上の企業や研究機関に利用されており、各産業分野のAI化を力強く後押ししている。まさに、高性能AIの新時代への扉が開かれたと言える。(翻訳・編集/如月隼人)
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