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11月北京APECでの日中首脳会談実現へ、妥協成立か=安倍首相・習主席が関係改善に強い意欲―日中外交筋

八牧浩行    2014年10月9日(木) 6時20分

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11月に北京で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議まで1カ月。日中外交筋によると、日米露韓国など主要国首脳が集結するこの北京で日中首脳会談が開催され関係打開が図られる見通しだ。資料写真。

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11月に北京で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議まで1カ月。日中外交筋によると、日米露韓国など主要国首脳が集結するこの北京で日中首脳会談が開催され関係打開が図られる見通しだ。

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習近平国家主席は9月上旬、「中日友好とアジアの安定という大局を守る立場から、歴史問題を適切に処理し平和発展の道を歩むべきだ」と強調。その上で、「中国政府と人民は中日関係の長期的な安定と発展を望んでいる」と強調した。「中日関係の発展への期待」を公式的に初めて表明したもので、対日批判一辺倒の姿勢を転換したと受け止められている。

 

中国に信頼の厚い福田康夫元首相が7月下旬に訪中し、習主席と会談したことは、関係改善に大きく寄与した。安倍首相も8月15日の終戦記念日の靖国参拝を自粛した。中国政府幹部の対日批判も抑制的となっている。一方で、尖閣海域への中国公船の進入も徐々に減少している。

これまで日中間のパイプ役となる政治家が少なくなっていたが、内閣改造に伴う自民党役員人事で、親中派の谷垣禎一、二階俊博両氏が幹事長、総務会長にそれぞれ就き、日中友好議員連盟会長の高村正彦副総裁と共に自民党執行部には「親中シフト」が敷かれた。外務省が外交ルートで水面下での接触を続ける一方、政財言論界各レベルの交流が頻繁に行われ、外相、財務相、経済貿易相など閣僚レベルでも対話が実現するようになった。特に岸田文雄王毅両外相は8月以来2回も会談し、打開に向けた協議を進展させた。焦点は「尖閣諸島問題」の扱いだが、日中両首脳がこの問題を会談で直接的に言及しないことで、他の重要な懸案の解決に注力するという妥協案が有力だ。

喫緊の課題は日中が東シナ海で軍事衝突する「不測の事態」の回避策。中国が尖閣に侵入しなければ、日本も出動し、スクランブルをかける必要はない。緊急時における海上連絡メカニズムは既に事務当局間で詰められており、首脳同士が不測の事態回避で合意できれば、緊張緩和につながり、最悪の事態は回避される。

◆晴れ舞台・北京APECで内外アピール狙う―習主席

習近平主席にとって最大の政治ショーは北京でのAPEC会議であり、この成功は不可欠の最優先課題。北京五輪も同様だったが、中国にとって内外の耳目が集まる国際会議や国際競技会はアピールする格好の舞台となるが、APECはその最高の舞台と位置付けている。求心力を高める格好の機会となるため、国民にいかに見せるかに腐心する。人民大会堂に参集した名だたる各国トップたちを前に歓迎の演説をし、国際的に信頼され指導力があるかを国内的に宣伝することになるからだ。

APEC会議などの国際会議の際、ホスト国首脳は個別に親密に会談することが儀礼となっている。オバマ米大統領をはじめ多くの首脳と会談する予定で、主要国日本の安倍首相との会談が行われなければ、日中首脳とも世界に恥をさらすことになってしまう。このため、双方とも「万難を排して会談にこぎつけたいと考えており、歩み寄りが図られている」(日中外交筋)という。

◆安倍首相「中国も関係改善に積極的」と初めて言及

安倍晋三首相は10月8日の参院予算委員会で、「中国も関係改善に以前よりも積極的になってきている」との見解を表明。このように踏み込むのは初めてで、注目される。外務省や一連の訪中団を通じて、首脳会談開催の感触が得られたとみられている。さらに11月APECでの首脳会談について、「私は日中関係を改善したい」と改めて強い意欲を示した。東シナ海などでの不測の事態に備えた海上連絡メカニズムの運用開始についても「必要な調整を早期に進めたい」と強調した。

これに先立つ7日夜、安倍晋三首相は都内で開いた日中友好に関する行事に出席し、中国の民間友好団体、中国人民対外友好協会の李小林会長と会話した。李氏は中国の習近平国家主席に近いとされ、日中首脳会談の実現に向けて重要な整備が行われたとみられている。李氏は李先念・元国家主席の娘で、党老幹部の子弟ら「太子党」の一人だ。元副首相を父に持ち、共産党元幹部の子弟である太子党の代表格である習氏とは幼なじみの間柄。李氏の夫の劉亜洲・中国空軍上将も習氏の有力ブレーンとされる。

日中首脳会談に向けた双方のアプローチが盛んになり、会談実現の可能性が一段と高まったといえよう。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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