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代行業がZ世代を中心に日中双方で支持を受けている。
「会社に行かずに辞めたい」「墓地に足を運ぶことなく故人の供養をしたい」──そんな願いを代行してくれる「職業人」がZ世代を中心に日中双方で支持を受けている。誰かに任せることで人間関係の摩擦を避けつつ、適度な距離感と安心を確保したい、そんなニーズが今後も高まっていきそうだ。
「餅は餅屋」とはいうものの、かつて「自分でやるべき」とされてきた仕事の区切りや人間関係の節目が今、次々と代行される時代に突入している。
退職を告げる、恋人と別れる、家族の墓を弔う。それら一つ一つを他人から委ねられる代行職業は単なる「便利屋」とは異なる。感情の処理や儀式の演出までをも含めた、いわば「感情委託型サービス」といった趣を示しているところに特徴がある。
日本では近年、「退職代行」サービスが脚光を浴びるようになった。依頼者に代わって会社に退職の意思を伝え、必要な手続きについても一部請け負う。ブラック企業問題や若者のメンタルヘルスを背景に拡大した。
このほか、結婚式の友人スピーチを演じる「友人代行」、恋人との破局を代行する「別れさせ屋」、さらにはLINEでの「愚痴聞き」などのサービスもある。これらは「対人ストレスの回避」というニーズに応えるもので、建前社会で生じる摩擦を最小化することを志向している。
一方、中国では清明節シーズンが過ぎたばかりだが、「職業代祭掃(職業墓参り代行)」のように「儀礼の代行」ニーズに応えたものが急成長している。家族の墓参りを動画で代行するサービスで、読経や供物、手紙代筆まで網羅するものだ。
都市化や高齢化、遠距離社会といった構造的背景に加え、感情的価値への認識が高まっている。利用者の心の健康を守るための自己防衛として支持する声も根強く、「可視化された誠意」が求められる時代となった。
もちろん、このような代行サービスが広がることには賛否両論ある。退職代行では残業代請求などの法的交渉を行う場合は弁護士資格が必要となるため、「非弁行為(弁護士資格のない者による法律行為)」のグレーゾーンに抵触することもある。
また、中国の墓参り代行サービスでは、「形式だけでは意味がない」「誠意は本人の行動によってこそ示される」といった批判がある。合理性や効率、あるいは「共感の代行」という新たな発想を肯定的に捉える意見もあれば、社会コミュニケーションが代行によって完結する社会に異議を唱える声もある。
代行サービスを冷めた対応と見るか賢い選択と見るかは、世代によっても見解が分かれるだろう。中国では「職業閉店人」のように看過できない消費トラブルの渦中に置かれた代行業の存在に注目が集まっている。
とはいえ、代行業の存在基盤はサービスの提供者と利用者との間の信頼から成り立つ。タイパ重視のZ世代は今、時間と気力を本当に大切なものに集中させるために、感情の処理すらプロに任せはじめている。そこには心のシェアリングエコノミーとも呼べる新たな価値観が芽吹いている。(提供/邦人NAVI微信公衆号<WeChat公式アカウント>)
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