TSMCの対米投資拡大、「台湾の安全保障に資する」との分析―独メディア

Record China    2025年3月14日(金) 10時0分

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10日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、台湾半導体大手TSMCによる対米投資強化が台湾の安全保障に寄与する可能性について報じた。写真はTSMC。

2025年3月10日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、台湾半導体大手TSMCによる対米投資強化が台湾の安全保障に寄与する可能性について報じた。

記事はTSMCが先週、米国に新たに1000億ドル(約15兆円)規模の追加投資を行うと発表し、同社の累計対米投資額は総額1650億ドル(約24兆円)に達すると紹介。この巨額投資は、世界の半導体サプライチェーンの再編を加速させ、米中間の技術覇権争いにも大きな影響を与える可能性があるとした。

そして、今回の投資には、アリゾナ州に最先端の半導体工場3カ所や先進的なパッケージング(封止)施設2カ所、主要な研究開発センターが含まれ、TSMCの魏哲家(ウェイ・ジョージア)会長が特に人工知能(AI)関連で急増している顧客の需要に応えるためと説明したことを伝えた。

また、台湾の頼清徳(ライ・チンダー)総統がこの投資を「米台関係における歴史的な瞬間」と称賛し、米国内での半導体生産を「国家安全保障上の重要事項」と位置づけるトランプ大統領も歓迎する姿勢を示したと紹介。トランプ氏は過去に台湾が「米国の半導体ビジネスを奪った」と発言していたことから、台湾メディアからはトランプ大統領の態度が軟化したとの見方も出ているとした。

一方で、台湾内では、TSMCの米国への大規模投資が半導体産業の空洞化を引き起こしかねず、TSMCが「米積電」になってしまうのではないかといった懸念や、台湾の「護国神山」が米国に移転してしまうことへの批判も出ていると指摘。これに対して、台湾の国家科学技術委員会が設立したシンクタンク「科学技術‧民主主義‧社会研究センター(DSET)」の江旻諺(ジャン・ミンイェン)研究員など一部の専門家からは、台湾が短期間で半導体製造の中心地としての地位を失うことはないとの見方が示されたと伝えている。

さらに、台湾の半導体産業は、中国が台湾に侵攻した場合、世界の半導体供給が滞って自国経済にも大きな打撃となるため、侵攻をちゅうちょさせる「シリコンシールド」としての役割も果たしているとの見方を紹介した上で、江氏が「半導体産業がなくとも米国の主要な政策関係者の間では、すでに台湾の地政学的重要性は認識されている。これに米台間の半導体サプライチェーンにおける協力強化が加われば、台湾の安全保障環境にプラスの影響を与えるだろう」と述べたことを紹介した。

記事は最後に、台湾がトランプ大統領による関税政策の回避を実現できるかどうかについても言及。TSMCの対米投資が回避に寄与するとの見方を示しつつも、トランプ大統領が今後政策を転換することにより生じる不確実性が高く、特に米中間の技術覇権争いが激化することにより台湾が影響を被る可能性も否定できないとの見解を示した。(編集・翻訳/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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