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中国メディアの環球時報は5日、「石破茂内閣の外交政策はなぜ『ねじれている』のか?」と題する論評記事を掲載した。写真は首相官邸のXより。
中国メディアの環球時報は5日、「石破茂内閣の外交政策はなぜ『ねじれている』のか?」と題する論評記事を掲載した。著者は黒龍江省社会科学院東北アジア研究所研究員で東北アジア戦略研究院主席専門家の笪志剛(ダー・ジーガン)氏。
笪氏は、先ほど米ワシントンで行われた日米首脳会談について、「石破茂氏率いる日本政府が日米関係と日中関係を扱う際に示した『温度差』が世界の注目を集めた」と指摘。「石破茂内閣はこれまで何度も対中関係を重視すると表明してきたが、実際には両国関係を損なうような『ねじれた行動』を取ることがあり、これが日本政府の対中政策の不確実性を示している」と論じた。そして、「この『気まぐれ現象』は、日本国内の政治の複雑さや日本が現在の米中関係の中で果たしている微妙な役割を反映しているだけでなく、石破氏個人の政治スタイルとも密接に関係している」とした。
その上で、まず「日本の政治の複雑さ」について、「第一に、日本では保守的な政治がまん延しており、『親米』『恐米』の考えが常に影響を与えている。石破氏やその支持者らは『親中』とのレッテルを貼られるのを避けており、中国を冷遇することが政権の相対的な安定につながっている」と指摘。「第二に、石破氏は自民党内の派閥争いにおいて力が弱い立場にあるため、党内で深く根付いた保守派勢力に直接挑戦することが難しい。外交政策においても、党内で広く合意が形成されている日米同盟への迎合が、政権にとって安定した選択肢になっている」と論じた。また、「第三に、外交は米国主導との考えが日本の政界において依然として広く支持を得ている。第2次大戦以降、米国が日本の政治、外交、軍事に支配力と影響力を持ち続けており、米国を『裏切った』場合、その代償は日本が背負い切れるものではない」と述べた。
続いて、米中関係における日本の立ち位置について、「石破氏は首相就任以来、米中間でバランスを取ろうと試み、米国に完全に偏らず、中国も偏らない独立性を示し、石破氏らしい外交の特徴を確立しようと腐心してきた」とし、「米国のトランプ新政権の政策がもたらす不確実性に対抗するため、中国との関係改善にも重きを置いてきた。具体的には、日中戦略的互恵関係や一つの中国の堅持を表明する一方、引き続き日米同盟を維持し、台湾海峡の問題を取り上げ、軍備強化を主張するなど。こうした戦略の下で、石破政権は米国の対中抑制戦略の必要性を利用し、政治・経済面で強まる中国の影響力に対抗する形で、周辺外交において日本にとって有利な現実的利益を選択していくと予想される」と分析した。
さらに、「『安定』は石破氏が順守してきた政治原則だ」とし、「石破氏は内政において常に安定を求め、現在の少数与党という不利な構図の中で、国会で新年度予算案を通過させること、参議院選挙でうまく勝利すること、野党による不信任案を回避することが、彼が引き続き政権を維持できるかどうかの三大関門となる。こうした状況で、石破内閣が外交を含む分野で党内の反対派や野党の主張に迎合することは、内政の安定を図る上で前提となってくるのだ」と説明した。
このほか、「安定を求める外交政策は経済政策とも関連している」とも言及。「石破氏が掲げる地方創生は、各種の投資を呼び込むことを目的としており、中国企業を含む投資を誘致し、日本の地方特産業の発展を促進することを目指している。これは、リソースが東京に集中し過ぎている問題を改善し、高齢化や少子化という厳しい問題を緩和するための手段とも位置付けられている。米中間でバランスを取り、安定した外部環境を構築することは、中国との経済関係を強化し、米中競争の中でより多くの経済的利益を得たいという日本の経済界の現実的な要求に応えることにもなる」と論じた。
笪氏は、「客観的には、石破氏は岸田文雄政権下で低迷した日中関係の改善にかなり積極的なシグナルを発し、外交や経済などの面で実質的な措置をいくつか講じてきた。だが、日中関係をさらに改善し、真のウィンウィンの関係を実現するためには、石破氏は日本の政界の『おかしな輪』にとらわれてはならない」と強調。「日本が米中間のバランスを求めることは理解できるが、日中関係改善を掲げながら投機的な利益を図るような行動を取るのは避けるべきだ。日本は軽々しく台湾カードを用いて中国に挑戦し、中国の核心的利益を損なうようなことをしてはならない。また、中国の発展への無用な干渉、長期的な健全かつ安定した発展を損なうような行動は避けるべきである」と主張した。(翻訳・編集/北田)
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