トランプ・ゼレンスキー両大統領の決裂、ほくそ笑んでいるのは中国か―米国メディア

Record China    2025年3月2日(日) 17時50分

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トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談が決裂したことは、中国外交にとって思わぬ幸運が舞い込んできたことになるとの見方がある。画像はホワイトハウスのX公式アカウントより。

米国トランプ大統領とウクライナゼレンスキー大統領が2月28日にホワイトハウスで行った会談は「決裂」に終わった。当初はなごやかな雰囲気だったが、同席したバンス副大統領が、プーチン大統領との外交交渉を重視すべきと発言すると、ゼレンスキー大統領が、プーチン大統領はこれまで、合意を次々に反故にしてきたと猛烈に反論。雰囲気は一気に険悪になった。双方は記者団を前にしても激しい批判の応酬を繰り広げ、会談後に予定されていた昼食会や協定署名式は中止になった。米国メディアのボイス・オブ・アメリカは「中国はこんな幸運はないと、ほくそ笑んでいるかもしれない」とする見方を紹介する記事を発表した。以下は、同記事の中国に関連する部分を再構成したものだ。

中国はロシアとウクライナ戦争について傍観の姿勢を取ってきた。中国は自らを中立的な立場にあると主張しながらも、ロシアの石油を購入し、武器システムの部品を提供するなどで、ロシアの戦争継続能力を強めた。北大西洋条約機構(NATO)は2024年7月に、中国を戦争の「決定的な助長者」と位置づける声明を発表した。中国と欧州の関係が悪化したのは、中国がロシアとの関係を深め続けていることも一因だ。

中国は23年、ロシアとウクライナの戦争に関して12項目の和平案を提示したが、政治的解決の明確な道筋は示さなかった。この提案はほとんど支持を得られず、中国政府も戦争終結に向けた本格的な調停の努力はしていない。

トランプ大統領は25年2月、ダボス世界経済フォーラムへのビデオ演説で「中国がロシアとウクライナの戦争を止める手助けをしてくれることを望む。彼らはこの状況に対して非常に大きな影響力を持っている」などと述べた。しかし中国の反応はなかった。中国は米ロの交渉に対する「様子見」の戦略を選んだと思われる。

欧州諸国の中で、両大統領の会談決裂を受けてトランプ大統領への賛同を表明したのはハンガリーだけで、英国、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランドなどはウクライナ支持や支援の強化を次々に表明した。中国は長年にわたり、米国と欧州の対中政策を「分離」しようとしてきたが上手くいっていなかった。しかしここに来て、米国と欧州の間に「楔(くさび)」が撃ち込まれることになった。ノースカロライナ大学のクラウス・ラレス特任教授は「中国の祈りがついに通じた」「中国はこんな幸運はないと、ほくそ笑んでいるかもしれない」と述べた。

ラレス教授はさらに、「ウクライナはEU加盟国ではないが、それでも欧州の国だ」と指摘した。つまり、欧州諸国はウクライナを支援することで、「欧州の団結」を示さねばならず、現実にそうしている。この点で、欧州諸国と米国は、立場が根本的に異なるという。

ラレス教授は中国側の受け止め方について「欧州との関係、特に経済・貿易・投資関係、さらには政治関係を強化する道が開かれたと思っている」との見方を示し、さらに「中国は今、非常に慎重になり、政治的に欧州を刺激するようなことはしないはずだ」と述べた。また、ドイツ・マーシャル基金のクリスティーネ・ベルツィナ北方戦略マネージングディレクターも、米欧関係に亀裂が発生したことは、EUの対中姿勢に影響を与える可能性があるとの考えを示した。

ベルツィナマネージャーはさらに、米欧関係に亀裂が生じた以上、米国は中国問題で、欧州が米国と歩調を合わせることとを前提にすべきでないと指摘。欧州は米国との関係が不安定になったことで、世界戦略上の協力相手を改めて求めるようになるからという。

ラレス教授も欧州側の現状について「世界での友人が必要なのに、長年のパートナーが離れていくならば、中国のような国に対する態度は軟化するだろう。中国は、こうした自分たちに開かれた機会を活用しようとする可能性が高い。欧州側も少なくともある程度、中国の開放的な姿勢に共感を覚えるだろう」との分析を示した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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