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2月28日は、台湾で多くの住民が粛清された二・二八事件が発生してからの78周年だった。記念式典では頼清徳総統が演説した。当時の台湾と大陸の格差の指摘も発表された。画像は中華民国総統府ウェブサイトより。
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2月28日は、台湾で第二次世界大戦での日本の敗北に伴い台湾を統治することになった国民党当局と、戦前からの台湾住民の間に衝突が発生し、住民2万人ほど(10万人に及ぶとの説もある)が虐殺された二・二八事件が発生してからの78周年だった。フランスメディアのRFIは、同日に行われた記念式典での頼清徳総統の発言や、メディアの論評を紹介する記事を発表した。
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事件の発端は、1947年2月27日に、台北市内でたばこを販売していた女性に対して、取締官が暴行を加えたことだった。翌28日に発生した市庁舎への抗議デモに対して憲兵隊が発砲し、抗争はたちまち台湾全土に広がった。台湾人は多くの地域で一時実権を掌握したが、国民党側は中国本土から援軍を派遣し、徹底的に武力鎮圧した。当局に対する実力行使の証拠がなくても「反抗的」と思われただけで連行されて裁判なしで処刑された人も多かった。特に、裁判官、医師、役人など日本統治時代に高等教育を受けたエリート層が迫害の対象になった。
二・二八事件は、その後の台湾における国民党当局の、住民に対する長期にわたる強権政治の発端になった。また、戦前からの台湾住民である「本省人」と、戦後になり大陸部から渡ってきた「外省人」の間のわだかまりも、長く続くことになった。台湾では、二・二八事件について語ることが長年にわたりできなかったが、1990年代になり当時の李登輝総統が台湾の為政者を代表して謝罪した。なお、李総統は二・二八事件当時、日本の高等教育を受けた人物として粛清される可能性が高く、知人宅の蔵にかくまわれて難を逃れた経緯がある。
台湾の頼清徳総統は、2月28日に台北市内の二・二八国家記念館で行われた記念式典で、中華民国を代表して改めて謝罪し、犠牲となった人々に哀悼の意を表すとともに、死の危機を逃れ、今なお生存している被害者に対して関心を寄せ、すべての遺族に慰問の意を伝えた。
頼総統は、二・二八事件の発生原因は(大陸からの渡来者と台湾の従来から住民の)族種間の衝突ではなく、現在の追悼も族種間の衝突を引き起こすものではないと強調した。また、二・二八事件の全責任を族種間の衝突に帰することは、全く反省も謝罪もなく極めて無責任であり、決して許されない行為だと述べた。
台湾メディアの上報は、頼清徳の発言を引用し、「二・二八事件が発生した当時、台湾社会はすでに近代文明の恩恵を受けており、家の戸を閉める必要もなく、自転車に鍵をかける必要もなかった。鶏やアヒルは籠ごと家の前で飼育され、何の心配もいらなかった。これが当時の台湾社会だった」「一方で、中国から来た軍隊は北伐、抗日、内戦と長年の戦争を経ており、生活水準は台湾社会とは比較にならないほど低く、盗み、略奪、破壊を行った。生活文明の落差が台湾人の怒りを引き起こした」と指摘し、「独裁者である蒋介石が中国本土での戦局が次第に悪化する中で、台湾統治を確保するために、極めて重大な罪を犯した」と論じた。
頼総統は記念式典での演説で、二・二八事件の結果として多くの人が台湾から脱出したことで、台湾はエリートを失い、その影響は計り知れないものがあると指摘した。
頼総統はさらに、「現在の台湾社会にはまだ多くの声がある。なぜ被害者しかおらず、加害者がいないのか。被害の真相はいまだに明らかになっておらず、社会は真の和解に至っていない」と述べ、二・二八事件について、政府を率いて引き続き以下の3点行うと約束した。
まず、第一に、政治関連の文書を迅速に公開する。すでに昨年、国家安全局に対し、局内にある戒厳令時代の約100万件の文書を、一つずつ手作業で調査し、その中の政治関連文書を特定するよう指示したという。調査は今年5月までに完了し、6月には台湾政府・国家発展委員会の文書局に審査を求め、真相を公開する予定だ。
次に、権威主義統治時代における人権侵害事件の発生地について、審査手続きを行って重要な場所は保存する。頼総統は、このことで世代を超えて台湾の人々が歴史の現場を訪れ、権威主義統治による人権侵害について省みることを希望すると述べた。
頼総統はさらに、二・二八事件の再発を防ぐことを重視すると述べ、毎年の二・二八記念式典は、遺族を慰めて悲しみをいやすためだけでなく、歴史を鑑(かがみ)として、同じ悲劇を繰り返さないようにすることも目的と表明した。(翻訳・編集/如月隼人)
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