Record ASEAN 2025年1月18日(土) 13時0分
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南シナ海でフィリピンのEEZに中国海警局が「モンスター船」の異名を持つ大型船「海警5901」を派遣し、威圧を強めている。米国との軍事協力を深める比側に揺さぶりをかける狙いもありそうだ。写真は海警船。
中国が広範な領有権を主張する南シナ海で、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)に中国海警局が「モンスター船」の異名を持つ大型船「海警5901」を派遣し、威圧を強めている、と比メディアなどが報じた。トランプ次期米大統領の就任を前に、米国との軍事協力を深めてきた比側に揺さぶりをかける狙いもありそうだ。
比メディアなどによると、海警5901は全長165メートル、排水量1万2000トンで、沿岸警備当局の船舶としては世界最大級。警戒、監視に当たった比側の巡視船「カブラ」の4倍近い大きさだ。他の海警船と連携し、中国軍ヘリコプターをホバリングさせるなど挑発的動きを継続。11日時点で首都マニラに近いサンバレス州の約180キロ沖合を航行しており、比当局が監視を続けている。
海警5901は1日に比EEZ内のスカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺を航行。4日にはサンバレス州カポネス島の約100キロ沖合で確認された。ロイター通信によると、フィリピン国家安全保障会議のマラヤ報道官は14日の記者会見で「中国が海警5901を展開し、攻撃性を増していることを憂慮している」と表明。中国外交部の郭嘉昆報道官は海警局の「パトロールと法執行活動」は「合理的で合法的であり、非難されるものではない」と主張した。
比軍は2024年12月下旬、米国から中距離ミサイルシステム「タイフォン」を調達する計画を明らかにした。米軍は同年4月、比軍との合同演習に際し比北部に「タイフォン」を展開し、演習終了後も撤去していない。中国本土が射程に入る巡航ミサイル「トマホーク」を搭載可能で、中国は恒久配備に猛反対している。
中国海警局は軍の最高指導機関である中央軍事委員会の指揮下にある準軍事組織。海警5901は昨年も係争海域に派遣されており、中国の「海洋覇権」を誇示する象徴的存在となっている。中国としては、直接の軍事衝突に至らない「グレーゾーン事態」を繰り返し、支配を既成事実化していく思惑とみられる。
比国内では海警5901派遣など中国が覇権主義的な動きを強める南シナ海に海軍の艦船派遣を検討する必要があるとの意見も少なくない。
これに対し、マルコス大統領は「緊張状態を高めるようなことはすべきではない」と否定的だ。マルコス氏は「われわれは戦争をしているわけではない。必要なのはわれわれの権利を守ることだ」と強調。南シナ海をめぐり「フィリピンは常に緊張状態を緩和しようと努力している」と述べた。(編集/日向)
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