Record China 2024年11月23日(土) 10時0分
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シンガポールメディアの聯合早報は20日、「中国で無差別殺傷事件が頻発しているのはなぜか」と問い掛ける記事を配信した。写真は江蘇省無錫市の警察。
シンガポールメディアの聯合早報は20日、「中国で無差別殺傷事件が頻発しているのはなぜか」と問い掛ける記事を配信した。
記事はまず、広東省珠海市、江蘇省宜興市(※宜興市は同省無錫市の県級市)と立て続けに起きた無差別殺傷事件から10日もたたないうちに再び悪質な攻撃事件が起きたと指摘。「19日に湖南省常徳市にある小学校前で無防備な人々に車が突っ込んだ」と説明して「39歳の運転手の男が警察に拘束されたものの、負傷者の人数や男の身元、動機は明かされていない」と続け、「中国では今年に入って悪質な攻撃事件がすでに10件以上起きている。ある者は矛先を幼い子どもに向け、ある者は外国人を憂さ晴らしの対象にした。罪のない民衆に対する冷血な暴力の原因は一体何なのか」と訴えた。
そして、「こうした事件が起きると当局は簡単な発表を行うが、いずれも具体的な犯行動機ははっきりせず、それぞれに関連性があるかどうか確実な結論を出すことはできない」としつつも、加害者は職場でのトラブル、家庭の不和、生活の中での挫折や困窮、疎外感や不公平感など境遇や犯行動機に一定の相似性があることが多いと言及。また、現在の中国では経済の低迷や厳しい雇用情勢などが見られるとし、「社会の矛盾が醸成され問題が多発する時期だろう。底辺の人々の不均衡感がいったん呼び起こされると、ちょっとした考え違いで個人の不満が社会に降りかかる恐れがある」と論じた。
記事によると、湖南省での事件を受けて大勢の人が「社会にはあとどれだけの『不発弾』が隠されているのか」との考えを抱き、所得や医療、教育、老後の生活などの問題や司法の不平等などの問題の早期解決を訴える声も上がったという。
記事はその一方で、「個々の加害者の不幸な境遇に同情し、不完全な社会制度を見つめ直すと同時に、同様に考えるに値すること」として「加害者はどのような心理状態で極端な行動に出たのか」「世論は、個人の不遇を暴力行為の言い訳にする加害者にどのような態度で向き合うべきか」の2点を挙げ、「個人の不満を解消するために無差別に暴力を振るうのは一種のテロ攻撃であり、不遇や社会制度の不備があったとしても責められるべきだ」「こうした不合理に満ちた反社会的行為をした加害者は心理的に深刻な問題を抱えている可能性が高い」と指摘。その上で、「中国では心理的な健康に対する関心が低いが、問題を抱える人は少なくない」と伝えた。
記事はさらに、日本人学校のスクールバスが襲撃されて中国人女性が死亡した江蘇省蘇州市の事件、日本人学校に通う男児が刺殺された広東省深セン市の事件を取り上げて、「事件発生後にヘイト教育の見直しを呼び掛ける声も上がった。ヘイト教育は極端なナショナリズムを形成して外国への対立感情を生み出すだけでなく、国内の社会矛盾が激化した時に姿を現して極端な暴力行為を引き起こす恐れがある」と指摘した。
また、「このところ頻発する暴力事件は伝染して大勢の追随を呼ぶ可能性があり、当局は大きな難題を突きつけられている」と論じ、35人が死亡した珠海での事件を受けて当局が行ったと伝えられた「四無五失」と呼ばれる層に対する調査に言及。「四無」は「配偶者、子女、仕事または安定的な収入、不動産などの資産」の「無」を、「五失」は「投資の失敗」「生活への失意」など「投資、生活、関係調和、心理、精神」における「失」を指しており、記事は国の上層部による対応と共に「犯罪抑止や民心安定につながる積極的なシグナル」と評価する一方、「単純なレッテル貼り、調査を行って雑に治安維持の対象とすればリスクの根本的な解消にならないだけでなく、かえって反発を招く恐れもある」とし、最後は「中国国内で政府のガバナンス能力に対する厳しい試練は始まったばかりだ」とも論じた。(翻訳・編集/野谷)
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