Record China 2024年11月2日(土) 11時0分
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中国の大都市で刃物による襲撃事件が相次いでいることについて、シンガポール華字メディアの聯合早報は10月31日、「不況下で中国社会に警鐘が鳴らされている」と報じた。
記事は、10月28日に北京市海淀区の小学校近くで未成年3人を含む5人が襲われて負傷した事件に言及。50歳の容疑者の男は現場で制圧されたが、犯行動機はまだ明らかにされていないとし、「白昼堂々、中国で最も警戒が厳重な首都・北京の街頭で、抵抗力のない子どもを相手に無差別に攻撃を加えるという犯人の心理は、いったいどれほどアンバランスなものあったのか。一体何が彼に、罪なき人への凶行に走らせたのか」と述べた。
その上で、「中国の暴力犯罪率は全体としては低く、人口母数が多いためこのような犯罪は一定数は起こる。しかし、今年に入ってから凶悪な暴力事件が相次いでおり、北京、上海、広州、深センの4大都市のいずれでも発生していることから、注目を集めざるを得ない」と論じた。
そして、今年5月以降でも小学生に対する襲撃事件は少なくとも5件起きているとし、北京の事件のほか、5月20日に江西省貴渓市の小学校に侵入した女が刃物で人々を切り付け2人が死亡、10人が負傷した事件、6月に江蘇省蘇州市で日本人母子が襲撃された事件、9月に広東省深セン市で日本人の男子児童が殺害された事件、10月に広東省広州市の小学校の校門付近で男に襲撃された3人が負傷した事件を挙げた。
また、「うっぷんを晴らすタイプの悪質な事件」として、10月に上海市のスーパーマーケットで男が刃物で市民を襲撃し、3人が死亡、15人が負傷する事件が起きたことにも言及した。
記事は、「こうした事件の多くは、その具体的な動機が明らかにされていない。メディアはネット上の情報をつなぎ合わせて『不完全な真相』を集めているが、それぞれの凶悪事件の背景に共通性があるのかを判断するのは難しい」とし、「さまざまな個人的境遇について伝えられているが、どんなに大きな社会的不公平に遭遇したとしても、罪なき人の命を代償として自分を説明するべきではなく、無差別暴力事件は強く非難されるべきだ」と主張した。
一方、「これらの凶悪事件はやはり警鐘を鳴らしている」とも言及。「警察発表やマスコミの報道以外にさらに大きな事件があるかどうかは不明だが、昨年、中国の一部地域で『五失人員』(投資の失敗、生活における失意、人間関係の調和の喪失、心理的なバランスの喪失、精神失調)を調査すべきと報じられた。経済が低迷し、企業経営が困難になり、失業者が増える中、『五失人員』は改めて注目を浴びる存在になっている」と指摘。「9月末の中国共産党政治局会議でも、高齢者、障碍者、長期失業者などに対して支援を強化する旨が強調された」と説明した。
そして、「経済問題が社会問題に波及するのは避けられないことである。経済成長率が鈍化すれば、階層が固定化され、富の分配不均衡の問題がさらに際立つ。この過程で、社会的な心理状態は複雑になり、多くの人が落ち込んだり、寝そべった(無気力になること)り、焦ったり、憤慨したりする。罪のない人に手を下す人間も出てくる。このような社会リスクはなんとしても防がねばならず、根本的な状況の改善には経済上のパイを大きくし、底辺の弱者に活路を与えることが肝要だ」と論じた。(翻訳・編集/北田)
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