2024年10月23日、韓国・朝鮮日報は「日本植民地時代の強制徴用被害の象徴的人物であるヤン・グムドクさん（96）が尹錫悦（ユン・ソンニョル）政権の強制徴用解決策である第三者弁済案を受け入れた」と報じた。

記事によると、ヤンさんは同日、韓国大法院（最高裁）の判決に基づく賠償金と遅延利息を受領した。

韓国外交部当局者は「日帝強制動員被害者支援財団（財団）は同日、大法院判決に関する政府の解決策について受け入れる考えを示した生存被害者1人に判決金と遅延利息を支給した」と発表した。

韓国政府が3月に発表した「強制動員被害賠償解決策」には、18年の大法院の確定判決に基づき、日本の被告企業（日本製鉄、三菱重工業）に勝訴した原告（元徴用工）のうち15人に対し、財団が民間企業などからの寄付金をもとに賠償金を支給するという内容が盛り込まれている。

今回ヤンさんが第三者弁済案を受け入れたことで、15人中12人の元徴用工と遺族が政府の解決策により判決金を受領したことになる。

記事は「ヤンさんはこれまで、日本の戦犯企業からではなく、民間の寄付金形式の支援金から被害者へ賠償金を支給する尹政権の解決策について『過ちを犯した人と謝罪する人が別に存在するのか。そんなお金はもらえない』と反対してきた」とし、「約30年にわたって強制徴用被害の生き証人を担ってきたヤンさんが尹政権の解決策に同意したことは、日韓関係に肯定的に作用すると予想され、現在裁判中の他の強制徴用被害者にも影響を与えるとみられる」と伝えた。

この記事を見た韓国のネットユーザーからは「そのお金を拒否したところで代わりに誰かがくれるわけでもない。遅かったけど、よく決心した」「これ以上政治に利用されてはいけない。残りの人生を穏やかに暮らしてほしい」「政治に利用され、一銭ももらえずにこの世を去った被害者たちがかわいそう」「過去の歴史問題はもう終わらせる時が来た」などの声が上がった。

一方で「これは違うでしょ。日本が過ちを犯したのになぜ韓国企業がお金を払うの？」「どこの国の政府なのか。大法院は加害者に対して賠償するよう判決を下したのに、行政府が勝手に第三者弁済を進めるのは間違っている」「被害に遭った自国民の利益よりも日本の利益を考え、代弁してあげる尹政権」など不満げな声も見られた。（翻訳・編集/堂本）