中国人が海外で子どもを傷つける事件が連続、ゆがんだ愛国主義に警戒を―香港メディア

Record China    2024年10月21日(月) 10時0分

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中国国内で日本人の子どもが襲われ死者まで出た事件は記憶に新しい。しかし、スイスとオーストラリアでも中国人の男が現地の子を襲う事件が発生している。写真はスイスの警察車両。

6月に江蘇省蘇州市内で、さらに9月に広東省深セン市内で発生した日本人の子どもが襲われていずれも死者が出た事件は、多くの人々に生々しい記憶を残した。一方で中国国外では、中国人の男が現地の子を襲う複数の事件が発生している。香港メディアの亜洲週刊はこのほど、犯人は極端なナショナリズムの持ち主だとして、警戒を呼び掛ける記事を発表した。以下は同記事の主要部分に若干の情報を追加するなどで再構成したものだ。

スイスのチューリッヒでは現地時間10月1日午後、男が刃物で路上を行く幼稚園児の集団に襲い掛かった。幼稚園児は幼稚園から学童施設まで、学童施設の職員に付き添われて移動中だった。この事件で幼稚園児3人が負傷し、1人は重傷だった。学童施設の職員と周囲にいた人が男を取り押さえ、男は警察に逮捕された。男は23歳の中国人留学生だった。

男はかつて中国国内の西南大学で学び、チューリッヒ大学に移籍した。この男はソーシャルメディアで祖国に対する熱狂的な「愛国感情」を何度も表明していた。男の投稿には、理非を問わないショナリズムと外国人に対する憎悪があふれていた。

男のゆがんだ考えの背景には、かつてある女性に愛を告白したが受け入れられなかったことがあると見られる。男の「愛国感情」は個人的な欲望と挫折によってゆがめられ、暴走した感情を転嫁するための道具になっていった。結局、この極端な感情がスイスの街頭で爆発し、惨劇を招いくこといなった。

それよりしばらく前の8月末には、オーストラリアで33歳の中国人の男が生後9カ月の赤ちゃんに熱いコーヒーを浴びせて全身60%に重度のやけどを負わせた。男はオーストラリアで合法的な居留資格を得ることができなかったので恨みを抱き、罪のない赤ちゃんに怒りをぶつけた。

報道によると、男は留学ビザを取得して長期にわたってオーストラリアでアルバイトをしていたが、生活は順調ではなかった。男は長年の不満と前途への絶望で理性と人間性を失い、理不尽かつ凶悪な社会への報復行為に走った。

この二つの事件の犯人には、ナショナリズムのイデオロギーと深く絡み合う極端な感情を持つに至ったという共通点がある。スイスでの事件で犯人は個人の感情的な挫折を国家の栄誉と結びつけてしまい、その熱狂的な感情に突き動かされて罪のない人に対する憎しみを持つようになった。オーストラリアで起きた事件でも、犯人の心の中には外部との深い溝が存在した。

中国では近年、過激なナショナリズム感情がネットでも現実でもますます激しくなっている。他国の文化にやみくもに排斥する「戦馬作戦」のような行為も「ネット上の叫び」にとどまらず、現実の行動になる場合がある。自分の生活の中の不満を外部への憎しみ置き換えて、過激で暴力的な方法に訴える人が増えている。過激なナショナリズムはネット空間から現実世界に飛び出し、さらには国境すらも超えた。

スイスとオーストラリアでの二つの悪質な事件は、社会のすべての人に対する警告だ。極端なナショナリズムによる行動が中国国家のイメージを損なうだけでなく、世界の華人の生活環境を脅かしている。過激なナショナリズムの背後にあるのはまっとうな「愛国」ではなく、歪んだ価値観や病んだ心理だ。真の愛国行為とは、例えば理性的かつ文明的な方式を通じて自国の力と自国の善意を世界に示すことであり、罪のない人を攻撃したり、心の不満をぶつけるために暴力による報復をすることではない。

米国などでは新型コロナ感染症をきっかけに、反中感情が強まった。中国人による悪質な事件がさらに追加されれば、国際社会における中国人に対する疑問と敵視をさらに強めることになる。このことは、海外在住華人の安全と利益を損ねるだけでなく、将来の国際関係により多くの「不信の地雷」を埋めることになる。

極端なナショナリズムの「毒の炎」はすでに、国境を越えて広がっている。われわれは警戒せねばならない。このような感情がさらに拡大することを許してはならない。この問題に真剣に向き合い、その拡散を抑制するための措置を講じる時が来ている。社会が理性と寛容を取り戻すことが求められている。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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