ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン（VW）がドイツ国内の工場の閉鎖を検討していると報じられたことに関連し、中国メディアの観察者網は3日、「中国と関係があるのか」とする記事を掲載した。

記事によると、英フィナンシャル・タイムズ（FT）は2日、「VWは、87年の歴史で初めてドイツ国内の工場を閉鎖することを検討している。オリバー・ブルーメ最高経営責任者（CEO）は欧州の自動車産業が『非常に深刻な状況』にあると警告した」と報じた。

FTによると、VWは昨年、主力のVWブランドについて、売上高利益率6．5％の達成を目指し、2026年までに100億ユーロ（約1兆6160億円）に上る節約とコスト削減を実施すると発表したが、売上高利益率は24年上半期時点で2．3％に低下した。

VWは2日の声明で、「極めて緊迫した」財務状況により「自動車生産および部品生産の工場を閉鎖する可能性も排除できない」とし、労働組合代表との交渉を開始すると述べた。また29年までドイツで人員削減を行わないという約束を撤回する予定であるとも発表した。

VWはドイツ国内で全世界の従業員数の半分弱にあたる約30万人を雇用している。同社株の20％を保有するニーダーザクセン州のステファン・バイル首相は2日、「VWが行動を起こす必要があることは疑いの余地がない」とした一方で、工場の閉鎖は同社にとって選択肢の一つにすぎないとし、「われわれは（工場の閉鎖は）絶対に起こらないと予想している」と強調。同州は「これに特に注意を払う」と付言した。

記事によると、これに関連し、米CNNは「VWの中国での業績不振は、中国の電気自動車（EV）メーカー、特に比亜迪（BYD）に負けていることによるもので、BYDは欧州におけるVWの事業にも脅威を与えている」と報道。ロイター通信は「VWは欧州の主要自動車メーカーの中で最も業績が悪く、同社の株価は過去2年間でどの主要競合企業よりも下落した」と伝えている。

ロイター通信によると、オランダの銀行INGのマクロリサーチ部門責任者カーステン・ブルゼスキ氏は「今回の決定は長年の経済停滞と成長のない構造変化の結果を浮き彫りにした」とし、「このような大手企業が工場を閉鎖しなければならないのであれば、（ドイツの）経済政策措置を大幅に強化する必要があるという、ずっと遅れていた警鐘となるかもしれない」との認識を示した。（翻訳・編集/柳川）