<雲中錦書>大学、学会で日中の新しい時代を共に作っていく

Record China    2024年9月17日(火) 8時40分

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本年は、中華人民共和国の建国75周年にあたり、こうした節目にまずは隣国日本から建国の祝辞を述べさせていただきたい。

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序 建国75周年を迎えた中国と隣国日本の責務

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本年は、中華人民共和国の建国75周年にあたり、こうした節目にまずは隣国日本から建国の祝辞を述べさせていただきたい。次の建国100年どころではなく、日本の「永遠の隣国」である中国の更なる発展を、千年でも万年でも期待する。両国の友好が今後も未来永劫続いていくことを祈るものである。

現在、中国の国際的なプレゼンスの重要性は、ますます重要なものとなってきている。東アジアを代表する国家として中国の役割は、古代、中世にあったように「世界の中心」としての役割を取り戻している。それは、中国の質の高い発展を背景とした、中国が提起しているグローバルな「人類運命共同体理念」であり、さらにはその一つの表れである「一帯一路構想」といったアイデアが、多くの世界の市民の共感を呼んでいることと無縁ではない。こうした中国とともに、日本も世界に貢献する役割が期待されることは言うまでもない。

中国と私の物語:隣国日本の共通な一つの風景

さて、「中国と私の物語」であるが、ここで私的なことを述べるのもおこがましいとは思うのだが、今回の寄稿の趣旨もあり、少し述べさせていただきたい。

多くの日本人は、意図せずして中国との体験を、その人生すべてで行っているといってよい。名前を記述するのも漢字であることが多いであろうし、さらには高齢者が電車や、バスで立っている情景に出会うと、積極的に席を譲るという行動は、日本では多く見られる。前者の漢字は、中国から伝来したものを使用しているわけであるし、高齢者や年長者に対する敬意を示すというのは儒教の教えに端を発する。そうして多くの日本人は、意図すると意図せざるとにかかわらず、中国との自分の物語を紡いでいる日常を繰り返しているといってよい。このように日本においては、多くの日本人は意識するとも、意識しなくとも、中国の文化の恩恵に常に浴している。

日本は中国から多くのものを学んできた。ある意味で、現在の日本があるのはそうした中国の文化をこれまで摂取してきたからといってよい。文化的な基盤となっている「漢字」や、社会的な基盤となっている「儒教」といったことだけでも、その影響力の大きさは無視できないことは明らかである。今後も日本は、そうした新しい時代の中国から、多くのものを学ぶと同時に、中国とともに世界に貢献することを試みていく必要がある。

中国と私の物語:国際的経験の極私的な一つの風景

私個人としても、「白鳥 浩」という名前を物心ついた時から漢字で書くことを覚えた。この名前のおかげで、中国では初対面の方には「白 鳥浩」という、中国における「白」という姓と間違えられ、文字からだけでは中国の方と間違えられることもある。そして、漢字を日常的に使用しているおかげで、中国に訪問した際にも、ある程度の意味はわかるという、文化的な共通性を強く感じ、親近感を持ってうかがうことができる。

さらに大学の研究者として、ヨーロッパやアメリカなどの海外に滞在したときにも、1980年代や90年代は、なかなか日本食のレストランなどがないこともあり、「日本人らしくお米が食べたい!」という欲求を満たすために、現地に滞在している中国の方が経営されている中国料理店をよく利用した。もっとも、2000年ごろに起こった「SUSHI」ブームのおかげで、最近は日本食料理店も外国で見つけることができるようにはなったが、やはり、私は海外に行けば必ず一度は中国料理店を訪問し、同じアジア人としての親近感と安心感に包まれることを、現在でも常としている。オックスフォード大学に客員フェローとして滞在した折には、行きつけの中国料理店すらできたほどである。また、そこでは中国人学生の勤勉さに心を打たれた。

むすび 今後の中国と私の物語:共通のアジア、世界の未来への一つの風景

大学の教員として、最後に未来への「中国と私の物語」を少し紹介したい。

現在、私が教鞭をとっている日本の法政大学にも、多くの中国人の留学生が勉学に励んでいる。私の研究室の指導学生にも、学部の学生にも、そして大学院の学生にも、中国の学生が在籍し、日本人学生とともに切磋琢磨している。

法政大学

また私が理事長を務めている日本政治法律学会は、おそらくは日本で唯一、中国語を公用語の一つとして認めている学会である。他の学会に先駆けて私がそうした決定を行ったのには、今後も中国とともに発展していく、共通のアジアの隣人、友人として中国からも学ぶという姿勢の表れである。

中国とともに、世界の未来を創る、そのために中国の学生と共に学び、ともに考える場を私なりに作る。そしてその共通の場を未来の日本と中国の懸け橋にする。そうした想いを私はもっている。

今後も中国の大学、学会との交流を続け、日中の新しい時代を共に作っていく。それが今後の「中国と私の物語」である。(法政大学大学院教授 白鳥浩)


※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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