<雲中錦書>テレビ山梨と中国国際放送局、共に歩んだ歴史

Record China    2024年9月17日(火) 7時40分

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私と中国とのお付き合いは今から39年前に遡る。たまたま同じ1985年に始まり、今も続いている2つの大きなプロジェクトによるものだ。

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私と中国とのお付き合いは今から39年前に遡る。たまたま同じ1985年に始まり、今も続いている2つの大きなプロジェクトによるものだ。

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一つは山梨県と四川省が「姉妹県省」の絆を締結した事である。人口80万人の山梨県とまだ直轄市になっていなかった重慶を含めて1億人の四川省ではスケールが違いすぎると驚いたのを思い出す。共に内陸に位置し、農業と工業の産業構造が似ている事、富士山と峨眉山という国を代表する名山がある事などが提携につながったようだ。

もう一つはUTYテレビ山梨とCRI(中国国際放送局)との提携関係が始まった事である。きっかけは日中友好協会の山梨県のリーダーだった神宮寺敬さんからの「CRI日本語部のアナウンサーのほとんどが日本に行った事がない。UTYで半年間の研修をさせてもらえないか」という依頼だった。UTYの中山典村社長が神宮寺氏と親しかったため、話はトントン拍子に進み、1985年の秋に最初の研修生として李麗桃さん(愛称桃ちゃん)が来県することに決まったのである。

同年の8月、山梨県の望月幸明知事を団長とする「山梨県四川省訪問団」の一員として私も初めて訪中することになった。最初に降りたった北京空港には桃ちゃんが出迎えてくれ、CRI(旧局舎)に案内された。当時の女性局長さん(名前は失念)や李順然さんら日本語部の人たちから温かい歓迎を受け、局の食堂で大変おいしい中国料理をご馳走になった。

このあと我々一行は四川省に入り、パンダセンターや杜甫草堂、都江堰、楽山大仏などを見学した。峨眉山にも出かけたのだが、当日は大雨で深い霧のためまったく山が見えなかったのは残念だった。

さて山梨入りした桃ちゃんはUTYの番組制作の現場やニュース取材に同行し、リポーターも務めるなど、トップバッターとしての役割を立派に果たした。当初、中山社長にしても私にしても「2~3人の研修生を受け入れれば良いのかな」と気楽に考えていたのだが、研修生にとってUTYでの研修は有意義で楽しかったらしく、その後も研修を希望する人が相次ぎ、結局39年間で29人の研修生を受け入れる事になったのである。


UTYからも技術部や報道制作部の社員が訪中して、中国の放送事業などについて研修をしているうちに「両局共同で番組を作らないか」という気運が高まった。

記念すべき最初の番組は2002年「ニイハオ北京」というタイトルで両局のスタジオを衛星中継で結び、北京の最新情報を伝える内容だった。UTYにとっても初の海外との衛生中継とあって緊張したのだが、なんとか時間内に収録を終える事ができ、社長以下ほっと胸をなでおろしたのだった。

2本目は2005年、CRIのアナ4人がUTYを訪れ、「UTY・CRIお国自慢・歌自慢」と題して双方の観光地や物産などを紹介した後、アナ同士で自慢のノドを競い合う楽しい番組だった。


3本目は2006年、UTYのアナが北京を訪れ、CRIのアナとペアを組んで2年後に迫った北京オリンピックに備えて建設中の競技場などを紹介した。UTYのデジタル放送開始を記念する特別番組だった。

4本目は2010年、「上海探偵団・光り輝く上海に山梨を探せ」のタイトルで万国博覧会に沸く上海に進出している山梨県の企業や県人を紹介して好評をいただいた。

これとは別に、同じ2010年に山梨県から「海外メディア推進事業」の指定を受け、CRIから5人のスタッフが来県して富士山や特産のワイン、ジュエリー、フルーツなどを紹介する番組を制作し、中国170都市のテレビ局で放映した。CRIの助力のお陰であるのは言うまでもない。

私の個人的な思い出として1991年に義父の竹下登元首相のお伴をして妻と共に北京を訪問した事である。釣魚台国賓館に宿泊し、李鵬首相主催の歓迎晩餐会に出席して中国一と言われるシェフの最高級の料理を堪能した。晩餐会に先立って義母や妻と共に李鵬首相の夫人とお孫さんと歓談できたのも懐かしい思い出である。また日本語部の李健一さんら2人に釣魚台に来てもらい、旧交を温めることができた。


CRIはCCTVなどと統合してCMG(中国中央広播電視総合)という中国を代表するメディアに生まれ変わった。コロナ禍の影響でCRIからの研修生の受け入れは中断している。昨年12月にCMGの邢博副台長やかつての研修生で現在はアジア太平洋総局副局長の寥麗さんら10人がUTYを訪れ、友好的な話し合いの結果、今後も新しい時代に即した提携を続けてゆく事で一致した。

日本と中国の外交関係は世界の分断が進む中で、以前にくらべてぎくしゃくしている感じだが、息の長い民間の交流の積み重ねが関係改善の一助になるものと確信している。(株式会社テレビ山梨 取締役相談役 金丸康信)


※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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