タイムスリップに現代風アレンジ…変貌遂げる中国時代劇の人気の裏で課題も

anomado    2024年8月30日(金) 19時0分

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中国の動画配信サービス・愛奇芸で23日にスタートした時代劇ドラマ「四方館」をめぐり、好評の裏で「現代要素が基準値を超えた」と取り沙汰されているもようだ。

中国の動画配信サービス・愛奇芸(iQIYI)で23日にスタートしたタン・ジェンツー檀健次)主演の時代劇ドラマ「四方館」をめぐり、好評の裏で「現代要素が基準値を超えた」と取り沙汰されているもようだ。

同じ現象は6月スタートのチャン・リンホー(張凌赫)とチャオ・ジンマイ(趙今麦)共演の時代劇ドラマ「度華年」と、7月スタートのジン・ティエン(景甜)とチャン・リンホーによる「四海重明」にも存在し、せりふ、衣装道具、出演者の演技とキャラ作りなど、隅々まで立ち現れている「現代要素」が、時代劇の評価を下げてしまうとの指摘が寄せられている。

高品質な時代劇を制作する上で必要なのは潤沢な資金と優秀な制作チームの2点。中国でこれまでの最高評価の時代劇と言えば「西遊記」(1986年)、「紅楼夢」(1987年)、「漢武大帝」(2005年)、「大明王朝~嘉靖帝と海瑞~」(2006年)を代表とする正統モノと、「戲説乾隆」(1991年)、「鉄歯銅牙紀暁嵐」(2002年)などのパロディーモノ、武侠系の「神鵰侠侶」(1995年)、「天龍八部」(1997年)などが挙げられる。制作チームの文学的リテラシーが高いだけでなく、史実の考証もしっかりしていて、色あせない名作として愛されてきた。

近年の中国時代劇は時代の変化、若いニーズに合わせて「後宮の権力争い」「タイムスリップ」「ファンタジー」「ミステリー」「異世界転生」系の作品に、「すっきり爽快さ」や「コミカルな展開」を加味したものを量産するようになっている。成功事例として挙げられるのは、現代の青年が古代の構造改革に挑む「慶余年~麒麟児、現る~」、女性同士の助け合いや自由恋愛を描く「卿卿日常」などだ。古代の外交官庁の仕事をテーマとした「四方館」も若い視聴者向けの作品となっている。

しかし視聴者がこれらの作品を楽しみながら「せりふ、衣装などが時代劇らしくない」「歴史的検証に耐えられない」と不満をこぼすこともしばしばある。一部のヒット作を除き、今どきの若手俳優の投入と制作のスピード性、早い投資回収を求めたことがネックとなり、問題点が改善されないままになっている。

これについて業界関係者は改善策として、「歴史に基づいた脚本創作」「出演者に対し、古代の礼儀作法、滑舌の練習強化」「時代考証の厳格化」「監督と出演者の意思疎通、演技指導」などを挙げている。

この先配信予定の時代劇には、伝記ドラマの「鉄馬冰河入夢来」「諸葛亮伝」「張謇」「風禾尽起張居正」、歴史ファンタジー系の「故宮如夢」「大唐賦」「大漢賦」「江山大同」、武侠系の「英雄志」「七夜雪」、恋愛系の「五福臨門」「貴女」、サスペンス系の「雨霖鈴」「掌心」「清明上河図密碼」などがある。多様なニーズに合わせながら「現代要素」の問題を改善したのか、史実を尊重しているのか―。視聴者の厳しいチェックが入りそうだ。(翻訳・編集/RR)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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