ガタゴト走る列車が数々の農産物と人々の思いを運んだ54年間―中国

人民網日本語版    2024年8月8日(木) 12時30分

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雲南省昆明市では、毎朝7時26分になると「5652号」の列車が始発の昆明駅を出発し、連綿と連なる烏蒙山の間をガタゴトと走っていく。

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雲南省昆明市では、毎朝7時26分になると「5652号」の列車が始発の昆明駅を出発し、連綿と連なる烏蒙山の間をガタゴトと走っていく。貴州省貴陽市と雲南省昆明市を結ぶ「貴昆鉄道」と呼ばれた時代から、現在の上海と昆明を結ぶ「滬昆鉄道」の貴州・昆明区間へと名称を変えながら、この列車は54年にわたり走り続けている。

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沿線の村民が天秤棒を担ぎ、背負いカゴを背負い、この列車に乗って農産物を山から市場へと運ぶ。季節は巡り、一年また一年と流れる時の中で、ゆっくり走るこの列車はいつも山に暮らすたくさんの人々と共にあった。

列車に乗ってから切符を買う


昆明駅から紅果駅までは片道261キロメートル、「5652号」に乗ると16番目の駅で下車し、乗車時間は5時間18分。この列車は沿線の小さい駅の周辺で暮らす村民にとって、山間部を出入りする唯一の列車だ。

「5角、1元、1元5角……」。列車が出発すると、乗務員の唐炳紅(タン・ビンホン)さんは用意した硬貨と紙幣を数え始める。「最近は高速列車で切符を買う時に現金で払うのは珍しくなったが、この列車では現金払いはよくあることだ。切符代が安いということもあるし、高齢者が多くてネット決済が難しいこともある」と話す。


列車に乗ってから切符を買う村民が大半なので、唐さんは毎回乗車する前に十分な小銭を用意しておくという。

人々をつなぎ、人々のよりどころに

9時37分、列車は時刻表通りに呉官田駅に到着した。乗車する村民は徐々に増えていった。


「この列車は自分たちのような庶民にとって素晴らしいものだ」と話す唐銀柱(タン・インジュウ)さん(70)は駅から500メートルほどのところに家があり、奥さんと毎日この列車に乗って曲靖市まで農産物を売りに行く。春夏秋冬、欠かすことのない日課だ。

呉官田駅は村民のために専用の待合エリアを設け、担当者が野菜農家の人々の保安検査を乗車前にしたり、荷物の多い村民がいればすぐにサポートしたりして、村民たちの安全でスムーズな乗車・降車を保証している。


孫紅雲(スン・ホンユン)さんはこの列車の常連で、乗車して席に着くとすぐプラスチックかごを取り出し、二つの大きなかごに入れた野生のキノコの仕分けを始めた。「こうやって分けておけば、曲靖の市場で売りやすくなる。アイタケ500グラムが(市場では)自宅近くより40元(約800円)高く売れ、大きなかご二つ分なら数百元は多めに稼げる」と話す孫さんは、20年以上、自分の土地で育てた白菜やくるみ、リンゴなどを天秤棒で担いで山から市場へ運んでいる。

山から運ばれる野菜、広がる人生の道

曲靖駅から1キロメートルも行かない場所に河北農貿市場があり、その中に「馬竜街」と呼ばれる通りがあり、ここで野菜を売る村民はほぼ全員が「5652号」に乗ってやって来る。

この通りは市場の中で重要な地位を占め、地元の人はたいてい列車が到着する時間を知っていて、野菜農家が到着したら一番最初に一番新鮮な野菜を買おうと待ち構えている。



阮淑蓮(ルワン・シュウリエン)さんは野菜農家の1人で、列車に乗って野菜を売りに行くようになって長い年月がたった。野菜を売った収入で、子どもは大学に行き、家は平屋から2階建てに変わった。阮さんはいつも改札口の近くに止まる車両に天秤棒を置いておくという。「そうしておけば、列車を降りたら素速く改札を通り、市場の良い場所を取れる。そうすると稼ぎが多くなるから」と話す。

この列車は野菜を山から運んだだけでなく、人々も山から運んできた。子どもたちはこの列車で山を下りて学校に通い、若者はこの列車で山を出て出稼ぎに行った。村には2階建ての家がどんどん増え、村民の人生の道もますます広がりを見せている。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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