北京中軸線の世界遺産登録、これまで類を見ないデジタル技術によるサポート―中国

人民網日本語版    2024年8月7日(水) 6時30分

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北京の旧市街地を南北に貫く北京中軸線の建設は13世紀に始まり、16世紀に形成され、その後持続的に発展してきた。写真は景山から撮影した北京の故宮。

7月27日にインド・ニューデリーで開かれた国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)第46回世界遺産委員会で、「北京中軸線――中国の理想的首都秩序の傑作」が世界遺産に正式に登録された。北京の旧市街地を南北に貫く北京中軸線の建設は13世紀に始まり、16世紀に形成され、その後持続的に発展してきた。現在、全長7.8kmに及ぶ世界最長の都市軸を形成している。科技日報が伝えた。

7月27日夜にインド・ニューデリーのインターナショナル・エキシビション・コンベンションセンターで開催された「中軸の夜、栄光の古都」イベントでは、北京市文物局、北京中軸線世界遺産登録申請保護活動弁公室が騰訊(テンセント)と共同で3年かけて作った「デジタル中軸・小宇宙」が、北京中軸線世界遺産登録申請をデジタル化でサポートする重要な成果として世界に向けて正式にリリースされた。

「デジタル中軸・小宇宙」の制作者で、テンセントゲーム研究開発効能部の劉奇申(リウ・チーシェン)氏はイベントの現場で、インド、サウジアラビア、ギリシャ、カナダなどの各国の来場者が小宇宙を体験するのを目にした。立ちながら1時間プレーした人がいれば、自分のイメージとゲームの中の北京中軸線の違いを比較した人もおり、体験した後に早く北京の現地を訪れたいと述べた人もいた。

ゲーム技術を世界遺産登録申請に用いたのは世界初となる。劉氏は「『デジタル中軸・小宇宙』は最新の中軸線研究・保護の成果に基づき、高画質撮影・スキャン、ゲームエンジン、Physion Groom(リアルタイム毛髪物理シミュレーション技術)、SmartGI(リアルタイムダイナミックグローバルイルミネーション)、クラウドゲーム、プロシージャルコンテンツ生成などの技術を採用することにより、北京中軸線の7.8kmの中心遺産エリアを精密に復元・再現し、人工知能(AI)コンテンツの生成能力と結びつけて超大規模の地形、植生、建築物群を生成する」と述べた。

劉氏は「生成された3Dデータ資産の量は15Tを超え、中には30万本の植生と220万棟の建築物が含まれる。リアルタイム運用資産の総面数(モデル内の三角形の面数)は104億。北京中軸線が作り出した地形を視覚化した」と述べた。

北京市文物局は早くも2021年9月にテンセントと北京中軸線世界遺産登録申請の戦略的協力関係を結び、デジタル技術により中軸線の文化遺産の保護、継承、利用を推進することを明確にしていた。また、世界的にデジタル化技術が世界文化遺産登録申請の全過程に加わる先例を作った。

テンセント「デジタル中軸」チームは先農壇、鐘鼓楼、万寧橋などの遺産スポットの高画質撮影・スキャンを相次いで実施した。「北京中軸線」公式サイトや「雲上中軸」ミニプログラムなど一連の製品の開発を通じ、デジタルの世界で北京中軸線の壮大な景観を再現し、世界初の超大都市歴史景観デジタル化没入化インタラクティブ体験を実現した。

文化財と文化遺産に命を吹き込むことは文化財と新時代の融合と誕生の鍵となる。

鼓楼1階展示ホールに位置する「時の物語」デジタルインタラクティブ体験展示ブースは、多くの観光客がここで足を止める。古めかしい鼓楼もこれほどおしゃれになるのかと驚嘆する人もいる。

鼓楼1階は立ち退き、修繕工事を経た後、七つの券洞が復元された。券洞壁をスクリーンとし、動的プロジェクションがリズムに伴い変化する。没入型映像作品「共鳴」は「暮鼓晨鐘」の都市の過去の物語を伝えている。バーチャル「更鼓」と「永楽大鐘」が展示ホールにそびえ立つ。観客は太鼓をたたき、鐘をつくことができる。イヤホンを装着しパネルに軽く触れると、神武門や午門などの「四九城」内の任意の城門を選び、これらの城門の鐘の音を聞くことができる。

北京中軸線の世界遺産登録申請に向けた一連の作業を行った後、科学技術は文化遺産のために何ができるかという疑問に初期的な答えが返ってきた。テンセント持続可能な社会的価値事業部デジタル文化実験室の責任者である舒展(シュウ・ジャン)氏は、「『デジタル中軸』プロジェクトはデジタルテクノロジーが文化遺産保護に技術的サポートを提供できるだけでなく、活性化利用や継承のイノベーションにおいて新たなモデルを模索できることを証明した。これらの技術が将来、より多くの世界文化遺産にデジタル世界で永遠の命を持たせることを願う」と述べた。

国際記念物遺跡会議の専門家である張建文(ジャン・ジエンウェン)氏はユネスコを代表し、23年8月に北京中軸線の現場検査を行った。張氏は中軸線デジタル化モニタリングプラットフォームを十分に認め、その機能が全面的でトップレベルであるとした。

北京天橋芸術ビル内で7月中旬のある日、北京中軸線遺産保護センターの金錫彬(ジン・シービン)センター長が目の前の巨大な電子スクリーンを見つめていた。スクリーンには北京中軸線の15カ所の遺産エリアに対する一部のモニタリング内容の重要データを表示していた。これは北京中軸線文化遺産モニタリング・保護プラットフォームだ。

遺産モニタリングは遺産保護と管理の重要な部分だ。チームは先進的な技術手段と科学的な管理方法により、中軸線文化遺産の「変化はモニタリング可能、リスクは識別可能、危険は予防可能、保護は持続可能」を実現し、その真正性と完全性を効果的に保護できるように保証した。

同プラットフォームにはさらに、ボランティアの中軸線巡回情報をまとめるという重要な機能がある。

ユネスコ世界遺産委員会の「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」とその関連ガイドラインの要求によると、一般の人々は文化遺産の保護と継承に参加する必要がある。

北京市中軸線世界遺産登録申請保護活動弁公室は23年7月にテンセントや未名文博などの機関と協力し、「デジタル不寝番」プロジェクトを開始した。中軸線保護に一般の人々が参加するためのプラットフォームを提供した。人々は携帯電話によるスキャンや撮影により、文化遺産のモニタリングに接し、理解することができる。

遺産エリアの境界杭に刻まれているQRコードをスキャンするか、「雲上中軸」ミニプログラムを利用することで、近くの建造物と文化財を撮影し、データをリアルタイムで同プラットフォームに伝送できる。

古代の不寝番は夜回りを行う際に火の用心と盗難防止も呼びかけた。今日の「不寝番」は、高齢者や子供を問わず中軸線の守護者になれる。こうして民間の力がスムーズに日常的な遺産モニタリング活動に加わるようになっている。

北京中軸線遺産保護センター遺産モニタリング部の周子予(ジョウ・ズーユー)部長は、「『デジタル不寝番』は現在すでに各遺産エリア専門点検の重要な補助手段になっており、『大衆化+専門化』融合発展モデルを形成した。北京中軸線が持つ歴史的・文化的価値への人々による保護、継承、発展、革新を効果的に促進している」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

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