中国メディアの環球時報によると、ベトナムエクスプレス（VnExpress）はこのほど、「タイのドリアン農家や輸出業者の多くは、この臭い果物に対する中国の需要がもたらすチャンスを生かして億万長者になっている」とする記事を掲載した。

記事によると、29年前に工場技術者の仕事を辞め、果物販売をしていた妻と共にドリアン事業に投資したアピチェット・チットフォーさんのリスクのある賭けは、中国からの需要に伴いドリアンの潜在的利益が急上昇したため報われた。

アピチェット氏夫妻は現在、タイの大手ドリアン包装メーカーを経営している。アピチェットさんによると、このレベルに達するとは思ってもいなかったという。以前、卸売をしていた時の1日の売り上げは100～5000バーツ（約430～2万1500円）だったが、より大きな市場に移ったことで、10万バーツ（約43万円）を稼げるようになり、さらに輸出ビジネスを立ち上げたことで数百万バーツどころか数億バーツを稼いでいる。

中国でドリアンの需要が急増する中、タイは最大の供給国となっている。中国が今年1～4月に輸入した生鮮ドリアン20万2500トンの約6割がタイ産だ。タイのドリアン生産量は過去12年間で2．8倍になり、栽培面積は80％増加した。

タイ政府によると、タイの対中ドリアン輸出額は昨年、37億5000万ドル（約5850億円）に急増した。国連商品貿易統計データベースによると、2012年は1億2800万ドルだった。今年現時点までの対中輸出額は前年同期比3～4％増の24億ドルに達している。タイの輸出業者は、ドリアンが中国の二線都市（省都など地方の中核都市）にまで届き、より多くの消費者がこの強烈な臭いのする果物を好むようになるにつれて、この数字が今後5年間でさらに増加することを期待している。

アピチェット氏夫妻は、需要の増加を見越して全国の農家と関係を築き、1年中輸出できるようにした。他の大手供給業者との競争は激しさを増しているが、栽培に何年もの経験を要するドリアンの味に自信を持っている。タイのドリアン業界に携わる人々にとって、彼らの夢は実現し始めたばかりだ。

ドリアンに対する中国の渇望は、今年1～4月に39．2％の市場シェアを占めたベトナムなど他の主要供給国の農家の生活も変えた。5000ヘクタールを超える栽培地を擁するベトナムダクラク省クムガル地区では多くの農民が貧困層から富裕層へと上り詰めた。地元当局者によると、農家はゴムなど価値の低い作物からドリアンに移行済みで「今年、高値で取引されていて、農家の生活は大きく改善された」という。（翻訳・編集/柳川）