中国でこのほど、2台のタンクローリーが石炭液化燃料を荷下ろしした後、タンク内部を洗浄せずに食用大豆油を積み込んで運んでいたと報じられ、衝撃が走っている。

【その他の写真】

これに関連し、香港ニュースポータルの香港01に9日、「ここ10年で最大の食の安全スキャンダル、見逃せない3つの問題点」とする記事が掲載された。

中国メディアの新京報によると、運送業界ではコスト削減のため、燃料や液体薬品を運んだタンクローリーのタンク内部を洗浄せずに食用油などの輸送に流用することが「公然の秘密」になっているとする情報提供を受け、同メディアが調べたところ、5月に2台のタンクローリーで実際にそのような流用が行われていたことが分かった。

名指しされたのは、河北省三河市の食用油企業、匯福糧油集団と天津市の中儲糧油脂（天津）。

中国メディアによると、国務院の食品安全監督当局は9日、食用油の輸送に関する調査チームを設置し、違反行為を厳しく取り締まると表明した。

香港01の記事は、この問題の背後にある問題点として、まず「規制当局から運送会社、食用油企業に至る全てがその責務を怠った。食の安全は国民一人一人の健康に関わる問題だが、規制当局の対応に問題があった」と指摘。タンクローリーの流用問題は2015年にメディアによって報じられていたにもかかわらず、いまだに「公然の秘密」状態だったことは、規制当局の監督管理が不十分だったことの表れだとした。

次に「この報道は、経済の健全な発展の国民の幸福向上に対する重要性を改めて物語る」と指摘。「経済が健全に発展し、一人でも多くの国民が安心して希望の持てる生活を送れるようになって初めて、コスト削減などの小さな利益のために法律を犯す確率を減らすことができる」とした。

また「この報道は、社会の健全な発展における調査報道と社会的監視の重要性を証明した」とも指摘。「調査報道と社会的監視の存在は、国民一人一人の力を発揮させ、国民の声を集め、社会の欠陥を正すもので、健全な社会が継続的に進歩していく礎となるものだ」とした。（翻訳・編集/柳川）