中国のセルフメディア、本土零售観察は5日、香港の小売売上高が2カ月連続の2桁減となったことについて、「香港小売業はオンライン販売への転換を迫られている」とする記事を発信した。セルフメディアとは、ポータルサイトなどで文章や動画を発信する個人やグループのこと。

記事によると、香港政府統計処が発表した5月の小売売上高（速報値）は前年同月比11．5％減で、市場予想（10．8％減）を下回った。4月の14．7％減に続き2カ月連続の2桁減となった。

政府報道官は5月の落ち込みについて、旅行者と市民の消費パターンの変化や香港ドル高の影響が大きく、比較対象となる前年同月の数値が高かったことも関係していると分析した。

中国財政部は6月下旬、香港とマカオから中国本土に持ち込む携帯品に対する免税の上限金額を従来の5000元（約11万円）から1万2000元（約26万4000円）に引き上げたこと、口岸（検問所）の免税店での購入品については合計1万5000元（約33万円）以下の場合は免税となることなどを発表した。上限金額は市場予想の3万元（約66万円）を下回った。一方、海南省の国内旅客向け離島免税額は10万元（約220万円）だ。

香港政府は、本土の新たな政策により香港に毎年約88億～176億香港ドル（約1812億～3625億円）の追加の売上高がもたらされるとの試算を示した。

香港小売管理協会の謝邱安儀主席は5月の小売売上高について、ゴールデンウイークがあったものの、悪天候の影響に加えて、本土客の消費習慣の変化や香港人の（本土への）北上消費により、小売業の弱さは「厳冬よりも厳しく」、回復にはさらに時間がかかるとの見通しを示した。

商品・販売経路別で減少幅が最大だったのは自動車・自動車部品で29．8％減。観光関連の消費カテゴリー、特にぜいたく品の消費は総じて振るわず、宝飾品・時計・高額贈答品が21．4％減、百貨店が21．1％減だった。

一方、5月のオンライン販売による売上高は21．9％増の26億4400万香港ドル（約544億円）で、小売売上高全体に占める割合は8．7％だった。

政府報道官は、オンライン販売による売上高が小売売上高全体に占める割合が拡大を続けていることについて、「小売業に新たなチャンスをもたらす」とし、引き続き中小企業のデジタル転換を支援していくと述べた。（翻訳・編集/柳川）