Record China 2024年7月9日(火) 8時0分
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シンガポールメディアのCNAによると、中国の電気自動車(EV)メーカーは米国と欧州連合(EU)の関税引き上げで新興国に軸足を移し始めている。写真は中国からタジキスタンに輸出されるEV。
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中国メディアの環球時報によると、シンガポールメディアのCNAにこのほど、中国の電気自動車(EV)メーカーについて、「米国と欧州連合(EU)の関税引き上げで新興国に軸足を移し始めている」とする記事が掲載された。
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記事はまず、「中国のEVは多額の補助金によって不当に安くなっているとする西側諸国からの非難の中、一部の中国自動車メーカーはより友好的な新興市場へと軸足を移し始めている。米国とEUは、補助金が競争力を高めると信じ、中国からのEV輸入に高い関税を課している」と伝えた。
記事によると、中国江蘇省昆山市にあるデューク昆山大学のジョン・クエルチ副学長は「欧州と米国の市場は重要だが、唯一無二の市場ではない。中国のEV輸出市場と製造業が海外で発展するチャンスはたくさんある」と指摘する。
国際環境NGO、世界資源研究所(WRI)の方莉(ファン・リー)北京駐在員事務所首席代表は「中国のEVメーカーは、新興市場への製品販売に加え、不必要な障壁を回避するため、現地の工業団地に製造拠点を設置し始めている」とし、その例として、比亜迪(BYD)が4日、同社として東南アジアで初となるEV工場を開設したことに言及。「発展途上国に製造拠点を設立することは、その国のEV移行にも役立つ。これは南南協力の一環であり、新たな世界貿易ルールへの対応の一部とみなすことができる」と付け加えた。グローバルサウスとは、アフリカ、アジア、中南米などの「発展途上国」や「後発開発途上国」と表現されることもあるさまざまな国を指す。
この変化は、中国もその一員であると考えているこのグループとの協力を強化したいという中国政府の意欲が高まる中で起きたもので、クエルチ氏は「中国はメキシコのような自動車製造産業を持つ国々と協力できる可能性がある」と指摘する。
中国は昨年、400万台を超える自動車を輸出し、世界最大の自動車輸出国となった。うち4分の1超の約120万台がEVだった。国内での普及率も高く、世界で登録されているEVの60%弱を中国が占めている。
一部のアナリストは、貿易障壁について、「米国と欧州の老舗自動車メーカーに、中国メーカーに追いつくための時間を与えるのが目的だ」と指摘する。特に11月に迫った米大統領選挙など、国内政治も関係しているという。
しかし、中国がより敵対的でない市場を求めているため、こうした「デカップリング(切り離し)」のコストは、輸送の脱炭素化とより持続可能なエネルギーの使用に向けた緊急の世界的取り組みの妨げとなる可能性がある。
国際エネルギー機関(IEA)によると、道路輸送は世界の排出量の約6分の1を占めている。国連は、2030年までに世界全体のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に増やすという目標を設定した。
英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの経済学准教授、金刻羽(ジン・カーユー)氏は「我々は実際に、これらの分野での投資をもっと奨励すべきであり、保護主義は大幅に減らすべきだ」とし、「中国は欧州への直接投資をさらに増やすことができる。それは双方だけでなく世界にとっても利益となり、現在進行中の構造改革にとっても非常に重要な新たな戦略的産業を活性化させるのに役立つだろう」と語る。
他の専門家も金氏の見解に同調し、中国のより安価な代替エネルギーなしでそのようなエネルギーを導入するにはコストが高くなり、各国の移行コストが増加するだろうと述べている。方氏によると「同じ金額の資金で変革の目標を達成したいのであれば、時間を延長する必要があるかもしれない」という。
EUが中国製EVに追加関税を導入した前月の6月、ハイエンドEVメーカーの蔚来(NIO)は、BYDや極氪(Zeekr)などのブランドと共に記録的な売り上げを計上した。NIOの共同創業者・社長の秦力洪(チン・リーホン)氏は「海外市場、特に欧州のような利益率の高い市場への進出は、企業にとって見逃すことのできない長期戦の一部だ」「この業界の最も根本的な問題は生産能力ではない。本質は、中国がEVなどの新エネルギー車分野で初めて製品と技術において真に優位に立ったということだ」などとし、「EVメーカーが直面する課題の一部は変化する政治・政策環境だ。メーカーは競争力の維持を確実にしなければならない」と付け加えた。(翻訳・編集/柳川)
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