1ドル160円台が常態化した円安を中国メディアが取り上げた。記事は「市場では日本の大規模な為替介入観測が高まっている」としながらも、「日本の為替安定には多くの試練があり、日本の軟調な景気に制限されるだけでなく、米国からもかなり『たたかれている』ことがうかがえる」と伝えた。

日本円の対米ドルレートは6月26日に160円台になり、1986年12月の最安値を更新した。さらに28日には161円台の最安値となった。

円安の現状について、中国網は「近年、日本は数回にわたり多額の資金を投じて為替介入をしている」と説明。「2022年9月から10月、日本は三度にわたり為替介入をし、9兆1000億円以上を投入した。今年は4月末から5月初めに日本は9兆8000億円の資金を投じて為替介入をした」と述べた。

続いて「ある分析は日本の行動はある程度は円安を軽減できるが、情勢を変えることはできず、政策の効果はますます明確でなくなっていくことを示した」と指摘。「4月から5月にかけて多額資金を投じて2カ月も経たないうちに、円の対ドルレートは瞬く間に最安値を更新した」とした。

さらに「短期的に見ると、日米間の巨大な金利差が円安を誘発した主な要因とみられる」と言及。「米連邦準備制度理事会（FRB）は金利を5．25％ら5．5％に据え置くことを決め、短期間で利下げを実施する可能性は低い。一方、日本は今年3月にようやく基準金利を0～0．1％に引き上げた。このような金利差は巨大な円安圧力となった」と解説した。

中長期的には「日本の長期的な不景気は円為替相場に影響する重要な要素である」と断言。「長年にわたり、日本で少子高齢化が深刻化していることが経済成長の潜在力不足を招いている。同時に日本国債残高の持続的な増加は財政余地を狭めている。加えて、円安が続き、円の国際競争力は低下し続けている」と冷ややかにみている。

一方で円安を受け日本政府が再び為替介入したといううわさが流れた際、米財務省は6月20日、日本を「為替操作監視リスト」に入れると発表した。日米双方は、これは技術操作にすぎず、「米国は日本の為替政策に問題が存在すると思っているわけではない」と強調するが、市場機関は日本に米国債売却に慎重になるよう警告しているとみている。そのほか、日本は6月28日に突然、為替政策の司令塔（財務官）の交代を発表し迷走している。

中国網は最後に「当然、日本は利上げを継続し為替を安定させることもできる。しかし、利上げはインフレを抑制すると同時に日本経済に大きな副作用をもたらす」と分析。「消費支出の抑制や企業投資の減少にしても、輸出商品の競争力の低下や政府の債務コスト増加にしても、日本経済にとって耐え難い重みとなる」と論評した。（編集/日向）