八牧浩行 2024年6月30日(日) 7時0分
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中国の無人月面探査機「嫦娥6号」が25日、月裏側の土壌サンプルの持ち帰りに世界で初めて成功、内モンゴル自治区の四子王旗着陸場に帰還した。
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中国の無人月面探査機「嫦娥6号」が25日、月裏側の土壌サンプルの持ち帰りに世界で初めて成功、内モンゴル自治区の四子王旗着陸場に帰還した。中国は2030年までに有人着陸を実現する計画。米中はここでも競合しているが、月裏側の土壌サンプル回収は画期的だ。
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月の裏側は地球からの電波が届かず、探査機とは直接交信ができない。このため、土壌サンプルを地球に持ち帰る「サンプルリターン」は難度が高い。中国は今回、別の中継衛星を使って月裏側の探査機を誘導し、回収に成功した。月の裏側には巨大な隕石が衝突した跡があり、約40億年前の土壌サンプルの採取は貴重と期待されている。
月には水や金属といった資源が存在する可能性がある。人類が宇宙で活動する新たな拠点となるほか、火星など遠方に行く足がかりとなる。
中国は今回の成功をテコに、月面開発を進める。2026年前後には嫦娥7号を、2028年前後には嫦娥8号をそれぞれ打ち上げる計画。将来の月面基地の候補地である南極域で水を含む環境探査を進める。月面基地の基礎となる研究ステーションを建設し、2030年までに月面に宇宙飛行士を送り込む方針だ。
習近平国家主席は「宇宙強国と科学技術強国の建設における象徴的な成果だ」と指摘。「宇宙強国の目標に向けて勇ましく強い意志を持って前進し、民族復興の偉業に新たに貢献することを希望する」などと強調した。
第15回夏季ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)が6月下旬、遼寧省大連市で開催された。会議には80近い国や地域から政界、商工業界、学術界、メディア業界の代表ら1600人以上が出席。ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領、ベトナムのファム・ミン・チン首相ら各国首脳も出席した。
中国の李強首相は25日に演説し、外資企業に対し「中国は開かれた大市場だ」と指摘。さらなる対中投資を呼びかけた。「世界では現在、百年に一度の変局が加速的に進んでおり、世界経済の発展は重要な時期に直面している。われわれは世界経済が直面している成長のジレンマを直視し、新たな科学技術革命と産業変革の重大なチャンスを捉え、経済成長の新たな動力源を切り開かなければならない」と強調した。
その上で「グローバル企業と中国企業は公正な競争環境下で交流・協力し、新興産業の発展に重要な役割を果たせる」と言明。企業の市場参入と公正な競争に関わる制限の撤廃に尽力していると力説。「われわれは開放型世界経済の建設という大きな方向性を常に把握し、共同で新たな発展の空間を作り上げる必要がある」と強調。開放型世界経済の建設に向け、諸規制の緩和などを推進する方針を明らかにした。
李首相は席上、具体的に4点の発展の道を挙げた。
(1)科学技術の交流・協力を深め、知的財産権を保護した上で、科学技術革新のための開かれた、公正かつ無差別な環境を作り出す。
(2)グリーン(地球環境)発展の強固な基盤を育成し、それぞれの排出削減責任を果たし、共同でグリーン・低炭素産業の発展を推進する。
(3)開かれた市場環境を維持し、胸襟を開いて緊密に協力し、陣営間の対立を捨て、産業チェーン・サプライチェーンの安定・円滑化を維持し、貿易と投資の自由化・円滑化を推進し、グローバルの健全な発展をリード・促進する。
(4)包摂的で包括的な発展を促進し、発展とガバナンスを統一的に計画し、関連する法律とガバナンスの枠組みを適時に整備し、より広範な利益とより大きな包摂性を伴う発展を達成するよう努力し、イノベーションの果実がより多くの国と人々に恩恵をもたらすようにする。
この会議では「10大新興技術報告書」が発表され、反響を呼んだ。今後3年から5年以内に世界に大きな影響を及ぼす10の画期的技術が列挙された。科学発見を駆動する人工知能(AI)、プライバシー強化技術、スマートメタサーフェス、高空プラットフォーム通信システム、通信感知一体化、世界の没入技術の完成、弾性サーマル素材、炭素を捕獲する微生物、代替タンパク質飼料、器官移植改善を目指すゲノム研究――などの技術が明示された。
これらの技術は健康、通信、インフラ、持続可能な発展などの分野での応用を重視している。例えば弾性サーマル素材は世界的に気温が上昇し、各国の冷却ソリューションの需要が拡大する中、エネルギー効率を高め、エネルギー消費量を減らし、機械応力下で熱を放出・吸収し、現在の技術に持続可能な代替の選択肢を提供できる。また、炭素を捕獲する微生物は、人工的に作った微生物によって排出物をバイオマス燃料などの重要製品に転化させ、気候変動を遅らせる将来性の高い方法を提供できる。
フォーラムの同報告書の発表は今回で12回目。専門家が未来を洞察する需要な参考材料となっている。フォーラムの主催者側によると、同報告書は科学者、科学研究者、学者を目指す人々の観点を集めている。その10大新興技術は革命的で、投資家と科学研究者にとって魅力的であるだけでなく、今後5年で相当の応用規模を形成することになるとみなされている。
中国の習近平国家主席は26日、中国を訪れているベトナムのファム・ミン・チン首相と北京で会談した。習氏は南シナ海を念頭に「海洋問題を適切に処理し、海洋の共同開発を加速し、地域の平和と安定を維持すべきだ」と呼びかけ、広域経済圏構想「一帯一路」に基づく事業の推進も提起した。
チン首相は「中国との運命共同体の構築がベトナムの外交政策の最優先事項だ」と語った。台湾問題における中国の立場を支持し、台湾が中国の一部という「一つの中国原則」を堅持すると伝えた。
このほか中国・上海でアジア最大級のモバイル関連見本市「MWC上海」が6月下旬に上海新国際博覧センターで開催された。日米欧をはじめ世界の先端IT企業などが参加し、高速通信技術などが披露された。
7月に中国共産党創設(1921年7月23日)103年を迎える記念イベントも開催された。
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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