中国の「デジタル化」が歩んできた道、歩みつつある道とは―専門家が文章発表

中国新聞社    2023年12月25日(月) 8時30分

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中国ではデジタル技術とその応用が猛烈な勢いで進行している。もはや世界の先頭に立つと言っても過言ではない。中国はどのようにして、社会と経済の急速なデジタル化を実現できたのか。

中国ではデジタル技術が猛烈な勢いで発達し、社会のさまざまな場面への応用も、精力的に進められている。今や、「デジタル技術とその応用は国の将来を左右する最も重要な分野だ」が、社会の共通認識だ。復旦大学中国研究院の副研究員で、中国政府の工業情報下部工業情報化法治戦略・管理重点実験室の研究員なども務める劉典氏はこのほど、中国メディアの中国新聞社を通じて、中国のデジタル化の推移と今後の方向を論じる文章を発表した。以下は、劉氏の記述の主要部分に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。

中国の強みは「中央が方針を練り上げ、地方が柔軟に適用」

中国では近年来、デジタル経済の発展が歴史的な飛躍を遂げている。今や世界で最も活力と潜在力を備えたデジタル経済国の一つだ。2022年12月にはネットユーザー数が10億6700万人に達して世界一、同年のオンライン小売金額は13兆7900億元(約277兆円)でやはり世界一、同年にはデジタル経済がGDPに占める比率は41.5%に達し、これは世界第2位だった。

デジタル技術は人々の生産方式や生活方式、社会の管理方式を大きく変える。デジタル経済は経済と社会の発展をけん引する重要な力となり、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能(AI)、ブロックチェーンなどの新興技術が融合ししつつ、経済の革新と高度化を推進している。中国はデジタル化の時代にあって、世界の先頭に立ったと言える。

技術革命とは、未来の発展をけん引する技術体系が登場して普及することだ。新たな技術革命をより早く始めることができれば、未来に向けて極めて有利になる。長い歴史を振り返れば、蒸気機関や内燃機関の動力の出現は西洋社会の生産力を大いに高めた。西側諸国はこのような技術革命を通して世界のトップの地位を確立したといえる。中国は西側諸国に追いつくことが困難になり、1840年のアヘン戦争以降は100年にわたる屈辱的な歴史の道を歩むことになった。

1940-50年代には原子力、電子計算機、宇宙技術と生物工学などの分野を中心とする科学技術革命が出現した。これらの技術は人々の生活様式と考え方にも影響を与えた。米ソ冷戦にこれらの技術が投入されたことで、新たな国際政治の構図をもたらすことにもつながった。

中国は中華人民共和国成立後の70年間で、西側先進国の300年の歴史の道を歩み終えた。つまり多くの技術革命とその影響を集中して経験することになった。特に改革開放の45年間の急発展は世界の注目を集めた。そして中国は今や、デジタル経済分野で世界のけん引役の一つだ。中国においてデジタル経済の発展は、中国式現代化の質の高い発展を推進する重要なエンジンになった。

中国政府は改革開放以来、完備した戦略と政策体系を構築することで、デジタル経済の発展のために堅牢な基礎を築いた。採用したのは、その他の分野でもしばしばみられる、国の中央が戦略のグランドデザインを描き、各地方にさらに具体的な措置を取らせる方式だ。中央は大局を見極めて計画を練り上げ、地方は中央の方針に従いつつも、地元の現実に基づいて最も有効な方策を模索する。中国のこの明確な政策体系は、世界の他の国と比べての最大の強みだ。

2002年からは道筋を立てて段階を追って推進

1980年代には、デジタル技術の重要性が広く認識され、応用も進んだ。中国は2002年に「両化融合」の発展戦略を打ち出した。すなわち、情報「化」によって工業「化」を推進し、工業「化」によって情報「化」を推進し、両者を融合させて新たな工業化を推進する戦略だ。

2012年秋の中国共産党第18回全国代表大会以来、各地方政府と中央政府各部門はデジタル中国の建設の要求を深く貫徹し、デジタルインフラ、デジタル技術、デジタル経済、デジタル政府、デジタル社会の建設を着実に推進し、デジタル化を発展させる環境を改善し、デジタル分野の国際協力を開拓し、さらに公共サービスや行政などにおけるデジタル化やスマート化の水準を引き上げた。

14年には中央サイバーセキュリティ・情報化指導チーム(後に委員会に変更)が設立され、インターネットの管理指導体制がさらに整備された。また、ネット空間の法治化建設の面では、ネット安全法、電子商取引法、データ安全法、個人情報保護法、「鍵となる情報インフラ安全保護条例」などの法令や各種の行政規則が制定された。中国ではすでに、インターネット関連の法律法規や行政体系の基盤が形成されている。

データ資源はデジタル経済の最も重要な要素だ。かつての工業時代の石油よりも重要と言っても過言ではない。中国では国家データ局が設立され、他の政府部門と協調しつつデータ関連の基礎制度の構築を推進することになった。このことで、データ資源の統合と共有、開発と利用を統一的に計画し、デジタル中国、デジタル経済、デジタル社会などの計画と建設を統一的に推進することが決定的になった。国家データ局の設立は、「デジタル中国」の建設プロセスにおける重要な一里塚だ。

デジタル経済の発展に伴い、中国は引き続き明確な戦略路線を堅持し、デジタル経済の発展を新たな段階に進め、デジタル時代の質の高い発展を推進し、中国式現代化の実現を後押しするために制度を整備していく。

デジタル革命は経済や産業、企業にとっての「新たな道」を切り開く。デジタル革命が全面的に興隆すれば、世界文明の発展が全く新しい段階に入るはずだ。中国はデジタルの分野で、重大な科学の成果で世界に貢献することができる。未来の世界文明発展のパラダイムの変革に向けて、中国は革新への自信と文化への自信を固めた上で、「超長期の科学の展望」を奨励し、支持するべきだ。

そのためには、新興科学技術の研究を強化し、積極的に革新せねばならない。同時にイノベーションの成果を世界と共有し、利用し、規範化を誘導することで、世界が科学技術の成果の共有することを促進すべきだ。さらに、科学技術革新の主体としての企業の地位を強化し、革新を推進する世界のネットワークに積極的に参加する必要がある。

正しく対応すれば今後もチャンスをつかめるはず

デジタル化時代到来は歴史的チャンスだ。しかし、チャンスと試練は同時に到来するものだ。的を絞って試練に対応し、しかるべき対策と解決方法を制定せねばならない。

中国の課題としては、依然として技術の研究開発において困難に直面していることがある。特にいくつかの重要な分野では、技術の深刻な限界が存在する。中国にとっては同時に、全ての人が共に裕福になる「共同富裕」が重要な目標だ。地域格差、都市と農村の格差、所得格差を解決して、デジタルデバイド問題をうまく処理せねばならない。また、実体経済とデジタル経済の深い融合を推進し、経済にとってさらに大きな恩恵を創出することも、早急に実現すべき課題だ。またデータの安全と関連政策の制定の面では慎重に対処し、環境保護や社会倫理などのさまざまな要素をも考慮して、データを合理的に使用し、乱用を防止する必要がある。

中国はデジタル分野で正しく対応すれば、新たな科学技術革命のチャンスをつかみ、デジタル経済で質の高い発展をさらに推進することができるはずだ。中国が世界のデジタル化をけん引する役割を果たし、デジタル化の成果が世界に恩恵をもたらすよう推進することは十分に可能だ。(構成 / 如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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