〈新時代の新疆ウイグル自治区6〉更に発展するカシュ・アクス・クチャ・コルラ・ハミ

小島康誉    2023年11月18日(土) 15時0分

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新疆全図に左から右上へ、カシュ(喀什地区)・アクス(阿克蘇地区)・クチャ(庫車市)・コルラ(庫尓勒市を中心とした巴音郭楞蒙古自治州)・ハミ(哈密市)の行政区域をパソコン上で強調。

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新疆の人々の生活や町々を直に観て、安定と発展を再確認した3週間。区都ウルムチ(烏魯木斎)と南新疆のルオチェン(若羌)・チエモー(且末)・ミンフゥン(民豊)・ホータン(和田)は既に紹介した。今回は南新疆のカシュ(喀什)・アクス(阿克蘇)・クチャ(庫車)・コルラ(庫尓勒)と東新疆のハミ(哈密)を紹介。なお天山山脈より北が北新疆、南が南新疆と称される。

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◆活気あふれるカシュ:喀什は旧名カシュガル。東はホータン、南はカシミール地方、西はアフガニスタン・タジキスタン、北西はクズルスキルクス、北東はアクスに接している。カシュ地区の人口は約450万人。タクラマカン沙漠北沿いの西域北道と南沿いの西域南道が合流する要所で、アフガニスタン「ワハン回廊」と接するなど、古より栄えた。かつては旧ロシアや大英帝国の領事館も置かれた。「カシュに来なければ、新疆へ来たとは言えない」とされ、人気の観光地。「喀什故城」に1日10万人が押し寄せるなど活気あふれている。

約2000店が競う「汗バザール」で外食を楽しむ人々

牛・羊・馬・鶏…南新疆最大の家畜市場

◆緑化で伸びるアクス:阿克蘇は「白い水」を意味する。西はクズルスキルクスとカシュ、北はイリハザフ、東はコルラ、南はホータンに接している。アクス地区の人口は約271万人。原油・天然ガス・鉱物・紡織・綿花産業が盛ん。政府幹部「空地があれば、まず木を植える」と言うほどで、緑あふれ空気は澄み切っている。国家衛生都市・国家森林都市に指定されている。玄奘三蔵がインドを目指し、天山山脈を越えた峠はベデル峠(4269m)ではと言われ、アクス北西に所在。筆者はTV番組制作で役所広司氏を案内したことがある。

1986年以来の緑化プロジェクトによる変遷(柯柯牙記念館にて)

湿地公園から世界自然遺産・天山トムール峰(7443m)を望む。その西方約100kmにベデル峠

◆世界文化遺産が観光客を呼ぶクチャ:庫車はアクス地区の東端に所在。古の「亀茲国」。人口約65万人。石油・綿花・観光が主な産業。世界文化遺産のキジル千仏洞・クズルガハ烽火台・スバシ故城、そしてクチャ王府や天山神秘大峡谷などが大量の観光客を引き寄せている。キジル千仏洞は西隣の拝城県に所在するが、クチャから参観する人が多い。途中の塩水渓谷一帯は古代シルクロード。阿弥陀経や法華経などを訳出した鳩摩羅什法師の母親は「亀茲国」の姫。亀茲では仏教が栄えた。クチャの「ナン」は直径80cmと大きく有名。

世界文化遺産・キジル千仏洞の谷西区

中国各地からの観光客が商店街にもあふれている

◆石油が夢を広げるコルラ:庫尓勒は梨の産地で「梨城」とも。コルラを含む巴音郭楞蒙古自治州(巴州)は西はクチャ、西南はホータン、北はイリハザフやウルムチなど、北東はトルファン・ハミ、東は甘粛・青海省、南は西蔵自治区に接している。巴州の人口は約150万人。膨大な原油・天然ガス開発の中心都市として大発展している。移住者も少なくない。鉄門関・ボストン湖・孔雀河・バインブルグ草原・楼蘭・ロプノールなどが知られている。次々と色を変えるビル群を背景に繰り広げられる噴水ショーは必見の価値。

夜景参観は必須、遊覧船で約30分

活気あふれる街の一角

◆戦略“123456”で発展する東の玄関ハミ:哈密は西は昌吉回族自治州とトルファン、北はモンゴル、東は甘粛省、南は巴音郭楞蒙古自治州に接している。人口は約68万人。ハミ回王府・左宗棠文化苑・巴里坤湖・大河唐城などが観光スポット。ハミ瓜は絶品。「社会主義現代化の新ハミを建設し、模範都市となる、現代型エネルギーなどで新型都市を建設する」などとの6項目発展戦略を掲げ、躍進し続けている。日照時間が年平均3358時間と長く太陽光発電所は広大、電力は東部へ送られる。風力発電機部品製造工場も広い。

延々と広がる太陽光発電所の一角

石で創られた「天下一満漢全席」、6億8千万元(約140億円!)と表示。奥の人物で大きさが分かる

サプライズ:カシュは9月18・19日の予定だった。コルラで夜景参観後の深夜、緊急会議。現地政府外弁書記より「新疆政府外弁から連絡あった。当日はカシュ宿泊不可。明日からの沙漠一周、中止しますか?」、書記・通訳・親友カメラマンらと喧々諤々30分。一人が「逆回りにしたら?」と、すぐ一人がスマホで時刻表チエック。「23・24日カシュ視察なら?」と。新疆政府外弁へ連絡、OK出る。即、切符キャンセルと翌日分予約。翌日、逆回り列車内でモレ聞けば19~21日カシュで開催の「新疆支援工作会議」に中国で7人しかいない中央政治局常務委員が出席するのでは?と。納得。後日のTVニュース、事情通の予想どおり王滬宁全国政協主席が出席した。

■筆者プロフィール:小島康誉


浄土宗僧侶・佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表・新疆ウイグル自治区政府文化顧問。1982年から新疆を150回以上訪問し、多民族諸氏と各種国際協力を実施中の日中理解実践家。
ブログ「国献男子ほんわか日記」
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※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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