八牧浩行 2023年10月18日(水) 17時40分
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巨大経済圏構想「一帯一路」国際フォーラムが10月17、18の両日、北京で開催された。「一帯一路」参加の140超の国と30超の国際組織から代表4000人以上が出席した。
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巨大経済圏構想「一帯一路」国際フォーラムが10月17、18の両日、北京で開催された。同フォーラムの開催は3回目で、今回のフォーラムには「一帯一路」参加の151の国と30超の国際組織から代表約4000人以上が出席した。アルゼンチン、セルビアの大統領のほか、インドネシアのジョコ大統領、ロシアのプーチン大統領ら24カ国超の首脳も駆けつけた。「グリーン発展」や「デジタル経済」などについてのハイレベルの議論が交わされたほか、貿易や地方協力、海洋協力といったテーマをめぐっても討議が展開された。
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習近平国家主席は同フォーラムで基調演説し「一帯一路は当初の目標を堅持し、国際協力をゼロから推進し、繁栄や実りある成果を収めるため協力してきた」と強調。スタート以来10年間に及ぶ「一帯一路」によるインフラ整備などにより「大きな成果を得た」とアピールした。具体的に、欧州やアジアからアフリカや中南米まで協力範囲を拡大し、鉄道などの交通や発電所などのインフラ整備を進めたことなどを挙げた。
さらに、新興国や途上国との連携強化で「質の高い発展を目指す」方針を打ち出した。具体的に(1)鉄道をはじめとする物流ネットワークの整備の加速(2)製造業の外資規制を緩和する地域の制定(3)技術革新の支援―など8項目を列挙した。
また「一帯一路」は参加国との連携を重視し「一方的な制裁や経済的な脅迫、デカップリング(分断)に反対する」と強調。「中国式の現代化で強国建設を推進する」とアピールした。
習氏は訪中した20カ国以上の首脳と2国間の外交活動を展開、プーチン大統領とも個別に会談した。
「一帯一路」は習氏が2013年秋に提唱し、古代の交易路だった海と陸のシルクロードを現代に再現することをうたった。一帯一路のフォーラムは2017年と2019年に開催されており、今回はコロナ禍を挟んで4年ぶりとなった。
このフォーラムに先駆け、第19回アジア競技大会が9月23日から10月8日まで浙江省杭州市で華やかに開催された。競技数は40と2021年の東京オリンピックで実施された33競技を超える規模。アジア大会はオリンピックで実施される競技に加え、ソフトテニス(軟式テニス)、囲碁、シャンチー(中国象棋)、カバディ、セパタクロー、クリケット、スカッシュ、eスポーツなどオリンピックにはない競技が行われ、「アジアは一つ」をアピールした。
アジア大会のスタートは、第2次世界大戦後まだ間もない1951年。インドのネルー首相の提唱により、日本を含む11カ国の参加の下、第1回大会がニューデリーで開催された。戦禍によって引き裂かれたアジア諸国の絆をスポーツを通して取り戻し、アジアの恒久平和に寄与したいとの願いが込められた。
杭州アジア大会の開会式には多くの国・地域の代表が出席し、習近平国家主席と会談した。習主席は韓国の韓悳洙首相との会談で、日中韓3カ国の首脳会談について「適切な時期の開催を歓迎する」と述べた。習主席は「韓国のアジア大会での好成績を祈っている。中国と韓国は引っ越しのできない隣人で、中韓関係の安定は両国民の利益と地域の平和に有益だ」と言明。韓首相も「韓国と中国がハイレベルの往来を維持することが有益で、健全で成熟した関係の発展に努めたい」と応えた。
8月には中国、インド、ロシア、ブラジル、南アフリカで構成する新興5カ国(BRICS)首脳会議が南アで開催され、新たにアルゼンチン、サウジアラビア、エジプト、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピア6カ国の加盟を認めた。「グローバルサウス」を代表する枠組みとして欧米主導の国際秩序に挑む姿勢を鮮明にした格好だ。
中国は、主要7カ国(G7)など価値観を重視する米欧への対抗軸として、BRICSの拡大を後押ししてきた。加盟5カ国で世界の人口の40%以上、国内総生産(GDP)の25%超を占めるBRICSや中露印主導の上海協力機構などを戦略の中核に位置付けており、そうした枠組みをさらに広げることで、新たな国際秩序の担い手となることを目指す。今回新たに加盟するサウジアラビアとイランに対しては、3月に国交正常化を仲介した。「人類運命共同体」を標榜する習主席は中東で勃発した「イスラエル・パレスチナ」紛争の停戦仲介に意欲的だ。
杭州アジア大会に日本は開催国・中国以外で最多の1138人(選手・役員)を派遣。日本選手は多くの競技で活躍し、大きな存在感を残した。中国政府は日本の積極的な取り組み姿勢を高く評価しており、今後の日中関係改善に向け弾みがつきそうだ。
米中両国は11月のAPEC首脳会議(サンフランシスコ)でのバイデン大統領と習主席のトップ会談開催を計画している。日中両国首脳会談開催についても、水面下の交渉が進んでいる。
杭州アジア大会の開会式では、デジタル花火やグリーンDXをはじめとする華やかな演出が際立ち、多国間平和協力、人類運命共同体がうたわれた。世界で6割以上の人口を擁し、GDP成長率で世界を牽引する「アジアの底力」を実感した。
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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