Record China 2023年7月25日(火) 12時0分
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シャインマスカットの中国への流出をめぐる主張が、中国のネット上で議論を呼んでいる。
中国の作家で果物に詳しい「フルーツハンター」の楊暁洋(ヤン・シャオヤン)氏は22日、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)アカウントで「シャインマスカットの最も完全な解説、あなたの果物産業に関する認識を刷新する」と題する動画を投稿した。
同氏は、シャインマスカットについて米国の「スチューベン」と「マスカット・オブ・アレキサンドリア」の交配種である「安芸津21号」と欧州の「白南」を交配した結果生まれたものとしたほか、「白南」の血統をたどると元は日本人が中国から持ち帰った品種に行きつくと説明。それぞれの品種の特徴などについて詳しく説明した。
その上で、一部ネットユーザーらを「愛国心がない」と批判し、「中国の先人たちの献身があったからこそ、今われわれが果物の自由を享受できる」と持論を展開。シャインマスカットが中国に持ち込まれた経緯について「南京農業大学の陶建敏(タオ・ジエンミン)教授が2006年に国家プロジェクトを通じて導入した」と主張し、当初はうまく栽培できなかったものの改良や模索を重ねて広く栽培されるに至ったと述べた。
この解説は微博でトレンド入りし、中国のネットユーザーからは「ようやくシャインマスカットの由来が分かった。素晴らしい解説だ」「先人たちに感謝」といった声が上がるなど大いに受け入れられた。一方で、在日中国人ブロガーの「陳生大王」氏は、この主張に異を唱えている。
「陳生大王」氏は23日、微博で「すみません。私はまたののしられにきた。まず言っておきたいのは国を愛していないというわけではなく、ただ白黒をつけたいだけだ」と切り出し、日本政府がシャインマスカットを海外流出の典型的な事例として扱い、メディアでも中国や韓国が“盗んだ”と非難されていることをリンク付きで解説。「シャインマスカットだけでなく、私たちが子どもの頃から食べてきたふじリンゴや不知火(デコポン)、紅秀峰さくらんぼも盗まれたものだと指摘されている」と紹介した。
その上で、「では一体誰がうそをついているのか。農大の陶建敏教授か、それとも日本政府と農家か。もちろん誰を信じるかはあなたの自由。品種の開発者を信じるか、利用者を信じるかだ」と言及。「正規に導入されたものなら普通は栽培技術も同時に伝えられるはずではないか。なぜシャインマスカットの品質は長期に安定しなかったのか。中国の専門家が自ら栽培方法を攻略する必要があるのか」と疑問を呈した。
さらに、楊氏が果物の自由を享受できることと愛国を結び付けたことにも「いささか気まずい」と評し、「(中国)国内の果物が安いのは、一部を開発コストもかけずに(海外から)直接持ってきて栽培しているから。そして、農民の収入が低いから」と指摘。「日本の果物農家と中国の果物農家の収入を比較すれば、知的財産権と人的コストの価値が分かるはずだ」と訴えた。
「陳生大王」氏は「こういうことを言うのは国を愛していないからではなく、海賊版を愛していないからだ」とし、「悪貨が良貨を駆逐し、海賊版を支持・黙認し、さらには白黒を逆転させる。確かに一時は溜飲を下げることができるが、(中国の)自主研究開発には破滅的な破壊となる」と述べた。
この投稿にはフォロワーらから「あなたの視点に賛同する」「感動した。本当に骨太な文章だ」「ふじも盗んだものだったとは。正規に導入されたものだと思ってた」「私は農業を学んでいるけど、国内の教授も盗んだものと言ってる」「他国との差が見えず、愛国を盲信」「何でもかんでも愛国と結びつけるのは病気だよな」などのコメントが寄せられている。(翻訳・編集/北田)
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