慢性的な住宅不足の香港、当局が若者向け「ホステル」拡大、習近平国家主席の発言で本格化

Record China    2023年7月22日(土) 13時0分

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慢性的な住宅不足で悪名高い香港で当局が若者向けに「ホステル」の供給を拡大。昨年7月に中国の習近平国家主席が若年世代の住宅・雇用問題への取り組みを強化するよう発言して本格化した。写真は香港。

慢性的な住宅不足で悪名高い香港で当局が若者向けに「ホステル」の供給を拡大している、とロイター通信が報じた。住宅問題をめぐる若年世代の不満に対応するのが狙いで、昨年7月に中国の習近平国家主席が香港を訪れ、当局は若年世代の住宅・雇用問題への取り組みを強化するよう発言してから本格化した。

ロイター通信によると、両親との口げんかにうんざりしていたヘアスタイリスト助手のシルバー・ホーさん(26)は、自分は運に恵まれた1人だと考えている。2カ月前、ホーさんは新たに設けられた「ユースホステル」に1室を得た。ヤングアダルト世代に居室を提供する施設で、香港政府からの補助金を受け、最長5年間借りることができる。

ホーさんの部屋は22平方メートルのツインベッドルーム。もう1人とシェアする予定だが、両親と共に暮らしていた公営住宅の部屋に比べてわずかに狭いだけだ。

ホーさんが払う家賃は月4400香港ドル(約7万9000円)と低額で、近隣のサブディバイデッド・フラット(一つのアパートをさらに狭い部屋に分割した物件)と比べて27%も安い。そうした物件のパーティションで仕切られた部屋は、専用のトイレもなく、ベッド一つ置くのが精一杯という狭さであることが多い。

ホステルの応募にあたっては31歳以下、月収2万5000香港ドル以下、そして資産総額が38万香港ドル以下という条件があり、面接を受ける必要がある。入居を続けるためには、地域サービスまたは認定された活動に年200時間従事することが求められる。

習主席からのプレッシャーを受けて昨年強化された「ユースホステル」制度には、住宅問題に関する若年世代の不満に対応する狙いがある。中国政府は、こうした不満が2019年に香港を揺るがせた民主派による反政府抗議行動を招いた一つの要因だったと考えている。

一方で若年層の居住権をテーマに活動する団体が5月に発表した調査結果によれば、回答者の90%近くは申し込むつもりはないと答えており、ホステルの魅力は限定的になるとみられる。むしろ回答者の大半は、いつか自分のアパートを購入するまで貯蓄に励むことを優先している。

香港城市大学で住宅・都市問題を研究するガイ・ミンイップ教授は「ホステル制度による供給量は限定的になる見込みで、香港の若年層のフラストレーションを緩和するという意味でもあまり期待はできない」と話す。同教授は「問題の根源は住宅だけではない。将来への展望、政治、民主主義などあらゆることについて若者がどう考えているかという点に関連していることが、研究で明らかになっている」と指摘した。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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