中国駐大阪総領事館「新疆ツアー第一陣」、その意義と世界遺産

小島康誉    2023年7月12日(水) 16時30分

拡大

写真は天池。西王母伝説など神秘的な物語が語り継がれ、四季を通じて美しい湖。

(1 / 7 枚)

中国駐大阪総領事館「新疆ツアー第一陣」が成功裏に活動を終えた。コロナ禍の2021年末に総領事館が希望者を募ると1000名余が応募。22年3月には総領事館と新疆ウイグル自治区文化旅游庁がオンラインイベント「新疆は良いところ」を実施。同年4月に総領事館で開催された「新疆は良いところ」では約20人の男女がウイグル女性から民族舞踊を習うなど新疆への理解を深めた。本年6月18日、総領事館で挙行された「新疆ツアー第一陣壮行会」で、薛剣総領事(大使級)は「テロもあったが、政府尽力で今では安定し大発展している。自分の目と足で確かめられる新疆を発信ください」などと挨拶され、筆者も祝賀挨拶をした。

その他の写真

そして、翌日から9日間の旅を小学5年生から83歳までの男女20人が楽しんだ。同館の領事らが同行した。新疆ウイグル自治区の区都ウルムチを皮切りにトルファン・コルラ・クチャ・アクス・カシュを巡り、博物館・火焔山・民家・カレーズ・綿花畑・紡績工場・イスラム教寺院・旧市街・ナイトマーケット・名所旧跡などを参観し、歌舞を楽しみ、人々と交流し、発展ぶりに驚いた。日本では「人民網日本語版」が報じた程度だが、中国では大量に報道されている。

一行が参観したウルムチ郊外の「天池」は2013年に世界自然遺産となった「新疆天山」の構成資産であるボゴダ峰の中腹にある美しい湖。富士山をふくむ「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」も同時に世界文化遺産に認定された。ともに今年が10周年。トルファンとクチャ郊外で参観した「高昌故城」「キジル千仏洞」「スバシ故城」「クズルガハ烽火台」は、参観しなった「交河故城」「北庭故城」ふくめて世界文化遺産「シルクロード:長安-天山の交易路網」の構成資産。来年が10周年。

高昌故城:玄奘三蔵がインドへの取経旅の途中に留まり講義をした唐代の要衝

このツアーの意義は、コロナ禍後の日本から最初の新疆観光団であり、何かと誤解されている新疆ウイグル自治区の生活ぶり発展ぶりなどを一般市民が直に体験したことに尽きる。新疆については様々な報道がなされている。1982年から150回以上訪問し、現地の各族諸氏とリスペクトしあって、世界的文化遺産保護研究や人材育成など様々な活動をしてきた筆者からすると、報道の多くは色眼鏡的であると感じる。

「百聞は一見に如かず」である。ツアー参加者がSNSなどで発信した生の新疆が広く伝わることと、より多くの方が新疆を訪問され「美しい新疆・楽しい新疆・美味しい新疆」を実感されることを期待したい。筆者も9月に再訪すべく準備を始めている。中国駐大阪総領事館「新疆ツアー第一陣」は「駐外政府機関によるコロナ禍後の日本から最初の新疆ツアー」として「ギネス」級の価値があるのでは?

キジル千仏洞:日本人も修復保存に協力し、王恩茂元党書記直筆の記念碑もある

スバシ故城:『大唐西域記』にも登場し晋唐時代には亀茲仏教の中心であった

クズルガハ烽火台:漢王朝が古代シルクロードに設け重要情報を伝達した狼煙台

交河故城:唐代には安西都護府が置かれ、西域交通の要衝であった

北庭故城:後漢の金満城から発展、唐代には北庭都護府などが置かれた

■筆者プロフィール:小島康誉


浄土宗僧侶・佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表・新疆ウイグル自治区政府文化顧問。1982年から新疆を150回以上訪問し、多民族諸氏と各種国際協力を実施中の日中理解実践家。
ブログ「国献男子ほんわか日記」
<新疆は良いところ>小島康誉 挨拶―<新疆是个好地方>
書籍はこちら(amazon)
小島康誉氏コラム

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携