高齢化社会の現実描いた日本映画、中国で高い評価―中国メディア

Record China    2014年7月25日(金) 1時11分

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24日、高齢化が世界一のスピードで進んでいる日本では、65歳以上の高齢者の占める割合が総人口の4分の1を超えた。日本映画「ペコロスの母に会いに行く」は、全編を通して隠れようもない現実主義的な色合いが濃い映画だ。

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2014年7月24日、高齢化が世界一のスピードで進んでいる日本では、65歳以上の高齢者の占める割合が総人口の4分の1を超えた。ここまで深刻化するとは、多くの中国人にとって予想だにしなかったことだろう。日本映画「ペコロスの母に会いに行く」は、全編を通して隠れようもない現実主義的な色合いが濃い映画だ。なぜなら、失業した息子を抱える認知症の母親が老人ホームに送られるというストーリーを見れば、楽天家になれる人などいないからだ。人民網が伝えた。

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映画で描かれるのはありがちな苦労話ではない。登場人物はつらい境遇に置かれるが、重苦しい雰囲気はなく、認知症の母と息子とのやり取りを、日常の光景の中でコミカルに描いている。例えば、認知症を発症した母を描写する際、母親本人にクローズアップするのではなく、息子の行動に焦点を当て、母の下着がどんどん少なくなるのを不思議に思った息子が、箪笥を開けると大量の汚れた下着が出てきて、大げさに騒ぎ立てるというコミカルなシーンになっている。老人ホームでも画面に映るのは悲しい表情ではなく、高齢者たちの子供のような笑顔だ。高齢者が悪さをして笑いをこらえたり、リュックを背負って走り回ったりする光景を、カメラは静かに映し出す。それを淡々と見ていると、なぜか心の底から悲しみがこみ上げてくる。

▼2人の長崎人の運命を変えた映画

日本の映画評論家・佐藤忠男氏はかつて、「大和民族は幻想的なシーンの撮影が得意ではない。フェリーニなどの作品と比べると邦画はまだまだだ。超現実的なシーンを見事に描けるのが神業」と語っているが、本作品の結末は非常に幻想的で、称賛に値する。花火が上がる中、認知症の母親は人ごみを避けて、1人橋の上に佇む。母親はそこで子供の頃の自分、かつての友人や夫と再会するのだ。

本作品の成功の最大の功労者は2人の長崎人だ。1人は原作漫画の作者・岡野雄一氏。遅咲きの漫画家だが、本作は自身の認知症の母とのやり取りからインスピレーションを得て描き始めたという。

もう1人は森崎東監督だ。御年85歳の松竹のベテラン監督で、かつて山田洋次監督と野村芳太郎監督の助監督を務めたこともある。この作品は約10年ぶりの新作で、クランクアップ時には「バンザイ」と叫んだという。舞台挨拶では、「まるで映画のよう。いつ覚めるのか、覚めなくてもいい。このままいきます」と語った。監督は「これが最後の作品」と言い切っている。

▼中国でも高い評価

中国の映画評価サイトでは、同映画を見たネットユーザーがさまざまな感想を寄せている。

「この作品を観た人はきっと涙を流し、心からの感情というものを知るだろう」

「淡々としたストーリーに、時折笑いがまじる。楽しさと悲しみの記憶に満ちている。平凡な一生なのに、パワーが満ちている。ラストシーンは作品の精髄でありクライマックス。笑いがいつしか涙に変わり、家族と故郷を思い出した」

「冒頭から軽快に物語が進んでいくが、その裏には深い悲しみや辛さが隠されている。この作品が好きなのは、この物語が日本の戦後の世代の記憶と感情をあまりにも多く含んでいるから。庶民的で素朴な雰囲気もあり、日本人がこの作品を愛するのも無理は無い。中国人が文革をテーマにした作品を見るのと同じ」

「暖かみのあるストーリー。冒頭から引きつけられるものがある。母の認知症が発症した後の回想シーンは非常に面白い。ただ、結末がやや唐突だった。もっと年をとってから観たら違う感じを受けるかもしれない」(提供/人民網日本語版・翻訳/SN・編集/武藤)

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