韓国、大学入試から難易度高い「キラー問題」排除へ、利権カルテル解体が狙い

Record Korea    2023年7月1日(土) 20時0分

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韓国政府が大学修学能力試験から難易度の高い「キラー問題」を排除する方針を打ち出した。「キラー問題」を売り物にする学習塾なども少なくなく、「利権カルテル解体が狙い」との見方もある。

韓国政府が大学修学能力試験(修能、日本の大学入学共通テストに相当)から教育課程外で非常に難易度の高い「キラー問題」を排除する方針を打ち出した。学習塾費用などの家計負担軽減を狙いだが、「キラー問題」を売り物にする塾も少なくないとされ、韓国メディアは「利権カルテルの解体が狙い」とも伝えた。

韓国の大学の一般入試は公立・私立を問わず、修能の点数を中心に合否が決まる。受験戦争が過熱する中、昨年11月17日に行われた2023年度の修能には50万8030人が出願した。試験開始に遅れそうになった受験生のためにパトカーなどが動員されるのは毎年の風物詩だ。

聯合ニュースによると、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は今年3月からこうした難問を排除するよう複数回にわたり指示していたが、6月の模擬試験で再びキラー問題が出題され、論争を招いた。この問題をめぐり、教育部の大学入試担当局長を更迭した尹大統領は9月の模擬試験と11月の本試験ではキラー問題を出題しないよう改めて要請したという。

大統領室の関係者は「キラー問題を解くことができてこそ良い大学に入学でき、そのために学習塾に通わなければならない状況はあまりに異常だ」と指摘。「9月の模擬試験ではキラー問題を出題しない」と明らかにした。

「キラー問題」は、公立学校の教育課程の学習内容だけでは正答できないため、優秀な受験生を容易に判別するために出題されてきた。一方で、教育費負担の増大や受験戦争の激化も招き、受験生は試験を少しでも有利にしようと高額な学習塾に殺到した。

教育部や統計庁によると、小中高校生が塾などに通う「私教育費」は右肩上がりで増加している。22年の小中高校生の私教育費は月額平均41万ウォン(約4万5000円)。同年の私教育費の総額は前年比10.8%増の26兆ウォン(約2兆9000億円)に上り、いずれも過去最大だった。

聯合ニュースは「教育市場ではキラー問題1問が1兆ウォンの価値を持つとされ、このような問題を解くためのノウハウを教える学習塾が莫大(ばくだい)な利益を上げている」と報道。今回の措置は「長期的にはキラー問題によって成績評価を容易にしてきた教育当局と入試テクニックを教えることで私腹を肥やしてきた教育業界との間の『利権カルテル』の解体を狙っているとみられる」との見方を示した。

尹大統領も「生徒たちを私教育市場に追い立てる利権カルテルは教育秩序をゆがめ、生徒たちが同じスタートラインで公正な機会を得ることを阻害する」と懸念を示していたという。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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