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中国の越境決済、人民元建てが初めて米ドル建てを上回る=受け入れ国が急増中ー中国メディア

Record China    2023年5月1日(月) 13時0分

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貿易決済などでの中国から海外に支払いで、人民元建てによるものが初めて米ドル建てを上回った。写真中国最大規模のコンテナ港である洋山深水港。

中国メディアの中国新聞社は29日付で、3月に人民元建ての越境決済が初めて、米ドル建て決済を上回ったと報じた。人民元建て決済を受け入れる国が急増しているという。専門家は、中国企業にとって為替変動リスクを低減する効果が生じるなどと分析した。また、多くの国が為替リスクの分散を考えており、人民元建て決済はさらに増加する見通しという。

中国国家外匯管理局(外為管理局)によると、3月末の時点で、人民元建てによる海外への支払い決済の割合が48%に達し、47%だった米ドル建てを上回った。2010年時点では人民元建て決済はほぼゼロで、同時期に83%だった米ドル建ての割合が大きく落ち込んだ。

今年になって、人民元建ての決済を受け入れる事例が相次いでいる。3月29日には中国政府とブラジル政府が、米ドル建てでなくそれぞれの自国通貨建てで貿易の決済を行うことで合意した。中国海洋石油は同月28日、上海石油天然ガス取り引きセンターを通じて、フランスのトタルエナジーズとの間で、中国初の人民元建てによる液化天然ガス(LNG)の輸入取引を行った。

アルゼンチンのマサ経済相は4月28日、中国からの輸入品の支払いを米ドル建てから人民元建てに切り替えると発表した。マレーシアのアンワル首相は4月初旬、マレーシアの中央銀行が中国との貿易が同国通貨のリンギットや人民元で決済できるようにするため、中国側と協議を始めたことを明らかにした。これまでにインドネシア、イラン、ロシア、ドイツなど30カ国以上が、貿易決済や投資での人民元利用に推移してきた。

国際的な金融取り引きで人民元の存在感が増してきたことには、中国が2010年ごろから資本勘定の開放を進めてきたことも影響しているとされる。DBS(香港)のエコノミストである梁兆基氏は、「多くの国がリスク分散のため代替となる通貨を求めている。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)の信用力も以前ほどではないために、人民元の国際化が加速している」と述べた。

中国国際経済交流センターの陳文玲チーフエコノミストは、「脱ドル化」の背景には、米国と米ドルに対する不信感があるとの見方を示した。米国の信用に対する疑問が発生し、「ドルの覇権」に対する不満も存在する。そのためにリスク回避への動きが強まっているという。陳エコノミストは「米ドルは今や、世界経済の不安定化と不確実性の、主要な発生源になっている」とも述べた。広東省深セン市に本部を置き資産管理を行う企業である前海開源基金の楊徳竜チーフエコノミストは、「ウクライナ危機では、米国が多くの国と連携してロシアを制裁したことで、ロシアの輸出・貿易が影響を受けた。世界各国はドルの横暴を目にした。現在の流れは『脱ドル化』であり通貨の多元化だ」と述べた。

中国国家外匯管理局の副局長で報道官を兼任する王春英氏は21日の記者会見で、「中国は貿易についての算定や決算に第三国の通貨を使ってきた」と説明。この状況が、「企業にとっては為替リスクなどを高め、国にとっては外貨準備の管理や運用を難しくし、資本の越境流動の変動リスクを高めていた」と述べた。

中国銀行研究院の王有シン・上級研究員(「シン」は「品」の「口」を「金」に替える)は、「自国通貨建ての決済が普及していけば、企業の為替リスクは明らかに低減し、生産や経営における資産と負債の通貨ミスマッチリスクも著しく低減する。そのため企業はより多くの資源と精力を主要業務に投入できるようになる」と述べた。

王研究員はさらに、中国との二国間貿易で人民元建て決済が増加することは、他の国や市場参加にとってのモデルとなり、けん引効果を発生させるとの考えを示し、今後は人民元建ての越境決済がさらに普及していくと予想した。

前海開源基金の楊徳竜チーフエコノミストは、人民元の国際化の度合いがさらに高まれば、米ドルの「単独覇権状態」はある程度は変化するとの見方を示した。その場合、米国が世界の通貨市場を操作する力は弱まり、米国以外の国にとっては、長期的な発展を実現するために有利な状況になるという。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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