韓国「経済危機世代」の困難な境遇に考えさせられる―中国専門家

Record Korea    2023年3月30日(木) 5時0分

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中国メディアの環球時報(電子版)に27日、韓国「経済危機世代」の困難な境遇に考えさせられるとするオピニオン記事が掲載された。写真はソウル駅。

中国メディアの環球時報(電子版)に27日、韓国「経済危機世代」の困難な境遇に考えさせられるとするオピニオン記事が掲載された。筆者は中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の王暁玲(ワン・シャオリン)副研究員。

記事によると、韓国は1970年代から90年代半ばまで比較的長い期間、高度経済成長を経験したが、97年のアジア通貨危機により韓国経済の高度成長は突然終わりを迎え、「新経済自由主義改革」が急速に始まった。韓国では、就業の低迷と所得の二極化が徐々に深まり、社会情勢が大きく変化し、多くの社会問題が顕在化した。70年代から90年代前半に生まれ、97年のアジア通貨危機後に労働市場に参入した人は「経済危機世代」と呼ばれる。

記事は、「経済危機世代」の最も顕著な経済的・社会的特徴として、長期にわたる就職難、労働市場の二極化、社会競争の激化を挙げ、経済的自立ができなくなった「経済危機世代」にとって結婚や出産は必然の選択ではなくなったとした。

記事は、韓国統計庁が20日発表した統計調査によると、昨年の40~44歳女性の婚姻件数は1万949件で、20~24歳女性の1万113件より多かったこと、40代前半女性の婚姻件数が20代前半女性のそれを上回るのは2年連続であることに触れた。

また、同庁が23日発表した「2022年韓国の社会指標」によると、韓国国民の半数は結婚しなくてもよいと考えていること、10~20代の6割近くが「結婚しても子どもは産まなくてよい」と考えていることにも触れた。

さらに、韓国の昨年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推定数)は0.78で、統計を取り始めた70年以降で最も低かったことにも触れた。

記事は、韓国政府は「経済危機世代」の困難な境遇を緩和するため、2000年から若者の雇用を促進し出産を奨励するための一連の社会福祉政策を次々に導入すると同時に、「学歴インフレ」現象に対処するため教育改革にも着手したが、これまでのところその成果は明らかではないとし、その原因として次の五つを挙げた。

まず、「社会問題というものは特定の人々や特定の分野で発生するが、それを解決するには、社会エコシステムの全体的な調整が必要になることがよくある」とし、「経済危機世代」の就業と出産を抜本的に促進するためには、「社会エコシステムをバランスよく整備し、政治・経済・社会など各分野の調整を共同で着手しなければならない」とした。

次に、「社会ガバナンスは受動的は防止ではだめで、事前の積極的介入が必要だ」とし、韓国政府が経済・社会構造の根本的な問題という点に立って「経済危機世代」の困難な境遇に有効に対応できなかった重要な原因は、韓国の対応が危機によって強制され、余地が狭められてしまったことにあると指摘。「韓国は、1997年のアジア通貨危機以前は常に経済発展に注意を払っていたが、社会分配と社会保障には十分な注意を払っていなかった」とし、「21世紀に入り、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)、文在寅(ムン・ジェイン)の三政権の発展構想は徐々に変化してきたが、社会の質の向上は一夜にして成し遂げられるものではない」とした。

第三に、「若者の発展の機会に注意を払い、社会資源の分配において異なる世代バランスの取れた発展の問題を考慮する必要がある」と指摘。「物資が相対的に乏しい時代に生まれ、高度経済成長期に就職した世代は幸福感を得やすいのに対し、物資が相対的に豊かな時代に生まれ、経済低成長期に求職した世代はストレス耐性が弱い」とし、「若者の発展は社会の活力の重要な源であるとともに、将来の社会の健全な発展のためにも必要で、若者の生活環境に一層の注意が払われ、能力を向上させる機会が与えられるべきだ」とした。

さらに、「社会ガバナンスには良好な世論環境が必要だ」とも指摘。「韓国では、世代間の資源分配が社会の矛盾と対立を引き起こし、人々は社会の公平性に疑問を投げかけ、社会福祉制度に不信感を抱いている。不必要な社会的対立を引き起こさないよう、安定して良好な世論環境の維持に常に注意を払い、特定の利益団体に影響されないようにする必要がある」とした。

最後に、「将来の産業発展のニーズに焦点を当て、教育改革を積極的に実施し、社会全体が経済・社会発展のニーズを満たす職業観念を確立するよう導き、国民全体の教育水準を向上させながら、中間層世帯における『学歴インフレ』問題に注意を払い、警戒する必要がある」と指摘。「『唯学歴主義』に警戒し、一芸に秀でた者も肉体労働者もみな社会から尊重されなければならない。同時に、将来の産業発展のニーズを満たすより多くの才能を育成するため、高等教育の専攻設置に対し将来を見据えた調整を行う必要がある」とした。(翻訳・編集/柳川)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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