日本サッカーのやり方を中国がまねできない理由とは―中国人ジャーナリスト

Record China    2023年1月18日(水) 14時0分

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16日、ジャーナリストの秦朔氏は、日中両国のサッカー界の違いについて論じた。写真はFIFAワールドカップカタール大会の日本対ドイツ戦。

2023年1月16日、中国メディア「第一財経」の創業者でジャーナリストの秦朔(チン・シュオ)氏は、自ら運営するセルフメディア「秦朔朋友圏」を通じて、日本サッカー界と中国サッカー界の違いについて指摘した。

秦氏は初めに「日本は1993年にJリーグを創設し、中国は94年に現在の中国スーパーリーグを創設した。つまり日本と中国はほぼ同時期にサッカーの国内リーグのプロ化に踏み出した。それから約30年が過ぎ、まるでかつての明治維新と洋務運動のように、それぞれ違った結果を迎えた」として、日中両国サッカー界の現状を説明した。

秦氏は「2021年夏までに欧州へ旅立った日本人選手は451人。ワールドカップ(W杯)カタール大会の日本代表で欧州5大リーグ(英プレミアリーグ、伊セリエA、独ブンデスリーガ、西ラ・リーガ、仏リーグアン)のクラブに所属している選手は15人いた」「中国サッカーは、潤沢な資金でスーパーリーグの頂点に君臨していた広州FC(旧広州恒大)が2部に降格したほかは、数多くのプロ選手の報酬が未払いになっていることや、数多くのクラブが次のシーズンで解散するかもしれないことについて、誰も気に留めてさえいない」などとし、「日本サッカーにはクリーンなリーグ規則と健全なトレーニングシステムがあるが、中国サッカーは湯水のように金を使っては、洗い流したように何一つ残らない貧乏な状況を行ったり来たりしている」と指摘した。

その上で、Jリーグのネット広告動画と日本代表の森保一監督の談話を引用し、日中両国間のサッカー文化の違いについて分析。「昨年の12月23日に日本のJリーグは『4年後じゃない。2カ月後だ』というキャッチコピーで、2023年シーズンのネット広告を配信した。日本サッカーにとって、4年後のW杯だけではなく、2カ月後に開幕するJリーグも重要だという意味だ。平凡かつ淡白に見えて、実に深い意味を持ち、日本人のサッカーに対する愛情をうまく表現している。それに比べて中国サッカーは、毎回4年周期で動いている。W杯や五輪で金メダルもしくは好成績をあげるためのあからさまな結果主義で、間接的にはそれが中国サッカーに一定の成果をもたらしている」とした。

続けて、「日本がカタールW杯敗退後、森保監督はインタビューで日本サッカー界の問題とサッカー文化とは何かについて、真摯(しんし)に、教科書のような回答をしている。要約すると森保氏は、選手たちをW杯の舞台に立たせてくれたサッカーファミリーと日本国民へまず感謝の意を示し、今回超えられなかったベスト16の壁を、選手たちが今後乗り越えてくれることを信じている。だから日本国民に選手たちへの応援の継続を求め、一緒に戦おうと発言した」と紹介。「森保氏がサッカーファンやサポーターではなく、日本国民という言葉を選んだことに私は心を打たれた。おそらく、世界で一番人気があるスポーツであるサッカーは、日本人にとっても最も人気があるスポーツで、日本国民と日本のサッカーファンはほぼ同じ意味に当たるのだろう。日本社会は真のサッカー文化を持ち、大衆がサッカーを好み、受け入れ、愛しているのだ」と論じる一方、「それに比べて、中国には『勝利以外は認めない』ファンばかりだ。チームが負けたら、選手やコーチたちはまるで罰を受けて当然の大悪人のような扱いをされる。中国は日本と同じアジアサッカー連盟(AFC)所属で、体格もほとんど差がないのに、両国の差は実際かなり開いている」と述べた。

森保一監督

秦氏は最後に「日本は経験を隠したりしていない上に、アジア全域のサッカーのレベルを一緒に引き上げてくれる望みさえあるというのに、なぜわれわれはまねできないのか。その答えは簡単だ」とし、「日本の学生はサッカーに多くの時間を費やすことができるが、中国の学生は勉強や進学のプレッシャーでサッカーに時間を費やすのが難しい。日本でサッカーをやりたければ、すぐに場所を見つけられるが、中国では『土地は金なり』で、すぐに不動産取引の対象となり、ボールを蹴る場所を見つけるのは難しい」と指摘。また、「日本社会は多くの職業選択の機会と社会保障があり、たとえサッカーで身を立てることができなくても、大学には進学できるし、大学サッカーで良い結果を出せればプロへの道も開くことができる。サッカーをしながら普通の仕事に就いても差別扱いはされない」とした上で、「中国社会は学歴の差が収入に大きく反映するため、セミプロの選手というのはありえない。プロの選手になるためには体育学校に進学しなければならない。それは勉学とサッカーの二者択一を意味している。プロ選手として芽が出なければ、やり直す道はない。前途は狭くなる。子どもにそんな冒険をさせる親がどこにいるだろうか?」と論じた。(翻訳・編集/原邦之

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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