日本企業の対中投資は減少、利益の収穫期を迎える―中国メディア

Record China    2014年7月4日(金) 0時50分

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3日、澤田真治郎氏は中国日本商会の会長、日本最大の商社の一つである三井物産の中国総代表だ。澤田氏は6月18日に、中国日本商会が取りまとめた「中国経済と日本企業白書」(2014年版)と題した意見書を発表した。写真は北京大学卒業生・日系企業交流会。

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2014年7月3日、澤田真治郎氏は中国日本商会の会長、日本最大の商社の一つである三井物産の中国総代表だ。澤田氏は6月18日に、中国日本商会が取りまとめた「中国経済と日本企業白書」(2014年版)と題した意見書を発表した。中国日本商会は2010年から同意見書を毎年作成しており、中国経済の他に、中国各地の日本企業が直面している問題、これらの問題の解決に向けた提案が中心的な内容になっている。中国新聞週刊が伝えた。

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安倍晋三首相は就任後、中国を積極的に包囲・けん制する「価値観外交」を推進しており、両国関係が急転直下した。これとほぼ同時に、日本企業の対中投資も前年同期比で激減した。これは日本企業が「価値観外交」の影響を受け、対中投資を大幅に減らし始めたことを意味するのだろうか?日本企業は中国から撤退するのだろうか?

◆日本企業の投資の変化、政治との関連性は低い

この問題について、中国日本商会副会長兼調査委員会委員長の田端祥久氏は、「国際協力銀行(JBIC)の企業の対外投資に関する調査は1992年より、投資先国の項目を設けている。その時から2013年まで、中国は常に日本の製造業にとって最大の投資先国となっている。少なくとも国際協力銀行のデータでは、日本の製造業は20数年に渡り中国を最優先の投資先国としてきた。この20年の間に、中国に進出できる企業のほとんどが進出した」と指摘した。

日本の対中投資は、いくつかのピークを迎えた。田端氏は中国商務部(省)の調査データを使い、1997年、2005年、2012年のピーク値を導き出した。

澤田氏は、「日本の対中投資には、一つのピークを過ぎると減少するという傾向がある。他にも、中国の投資環境の問題がある。より良い投資先があれば、日本企業は自ずとそちらに投資を向ける」と語った。

田端氏はまた、別のデータにより、日本企業の中国における現状を示した。「日本貿易振興機構(ジェトロ)は2014年、日本企業を対象とする調査を実施した。そのうち54.2%の企業は中国事業を拡大すると回答し、39.5%は現状維持と回答した。一方、中国事業を縮小すると回答した企業は5%、中国から撤退しその他の国に移転すると回答した企業は1.2%だった」。

田端氏は記者の質問に答え、「(撤退したのは)主に電機メーカー、紡績業、中国製品を外国に輸出する企業だ」と述べた。

日本の電機メーカーは近年経営不振に陥っており、中国撤退も理解できる。紡績業を見ると、中国企業も積極的に海外に生産拠点を建設しているが、日本企業ならなおさらだ。元高に伴い、中国で生産し世界に輸出するという経営モデルにも限界が見えている。これらは政治とは直接的な関係を持たない。

◆空前の収益

投資が減少する一方で、中国に進出した日本企業は収穫期を迎えている。記者は6月20日に上海で、日本の有名商社の総経理を取材し、近年の経営状況について質問した。この総経理は喜色満面で、「昨年は創立以来で最高の売上と利益率を実現した」と回答したほか、「中国では中国の消費者と企業をサービスの対象とすれば、事業を最大限に拡大し、質を高めることができる」と指摘した。

20数年間の投資により、日本企業は収穫期を迎えている。日立(中国)の中国総代表の小久保憲一氏は、「2013年度の売上は、前年度比で32%増となった。私が直接管理している日立(中国)有限公司を含め、日立グループは中国に177社を構えており、従業員数が4万6400人に達している。中国では従業員数が5万人に近い企業は少なく、年間数十億、数百億元の増え幅を維持するのは容易なことではない」と話した。

小久保氏はまた、「当社の2012年度の売上は510億元(約8340億円)で、2013年度には671億元(約1兆1000億円)に達した。2015年度は763億元(約1兆2500億円)以上という目標を立てている。中国で、売上を毎年50億元(約820億円)も伸ばせる5万人規模の電機メーカーは少ない。日本本土の企業であっても、誰もが数年連続で二桁台の成長を維持できるわけではない」と述べたほか、「中国が推進中の都市化の建設で、当社は急発展のチャンスを手にしている。戦後の工業化の過程において、日本でも大規模な都市化が生じた。環境汚染問題について、日本企業は技術とソリューションプランを蓄積している。中国が都市化を推進する際に、これらの技術とソリューションプランは、再び力を発揮するチャンスを手にする」と指摘した。

日本企業は切り出せる数多くのカードを手にしており、中国市場では「水を得た魚」状態だ。中国の内需拡大、新都市の建設に伴い、エレベーターや建機の需要が生じる。都市建設そのものもスマート化が始まっており、情報技術や新たな通信技術が必要だ。都市部住民の健康管理、上下水道の処理といった一連の事業にも取り組む必要がある。小久保氏は、「当社は中国の新都市建設に対する貢献を、今後の重要な事業としている」と述べた。低炭素、グリーン経済、イノベーションなどの面で、日本企業は今後も中国のさまざまな場面で貢献が可能だ。

湖南省長沙市では、三菱自動車が増設した新たな生産ラインが間もなく竣工する。トヨタ自動車の役員は、2014年の中国販売台数について、「今年の生産・販売台数は初の100万台突破を実現し、販売台数を毎年20万台伸ばしていく」と表明した。

日本企業が中国に多くの工場を建設するという流れは弱まる可能性があるが、これは日本企業の中国進出が衰退期に入るというわけではない。自動車メーカーなどは、発展と開拓の長い時期を迎えることになる。中国の都市化に合致する技術・設備・サービスも、大きなビジネスチャンスを手にするだろう。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/武藤)

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